2010年09月17日

女の直感は神がかり

 買い物に出かけようと、着替えているワイフの独り言が聞こえた。

「いやだ。このTシャツ狭くなってる!」

 振り向くと彼女は鏡に向かって、横を向いたり、後を向いたり、ちょっと不機嫌そうだ。

 そもそもTシャツが狭くなることがあるのだろうか。たしかに、新品なら洗濯したときに縮むことがあるだろうが、しばらく着てなかったTシャツだ。Tシャツが縮んだんじゃなくて、君が太ったんだろうが。そうとしか思えない。

 しかし、よく考えてみると、彼女は「狭くなってる」とは言っても「縮んでいる」とは言っていない。そうか、Tシャツと自らの体型との相関関係の中で、「狭くなってる」と表現したに違いない。そうか、本人も自らが太り気味であることを自覚しているのだ。だから、自らを傷つけまいとして、あいまいな表現で、落胆している自らの気持ちを表現しているのか。これが女ごころというものか。新聞を開ろげながら、記事にはめもくれず考えていると、後ろに気配を感じた。

 振り向くとワイフが私を見ている。

 「ねぇ。何か言った。」

 不意を突かれた私は、うろたえながら

 「えぇ。何も。」と応える。

 まさか、聞こえたの。女の直感は神がかり的である。

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2010年09月17日

図書館の幽霊の話

夕食時のことである。ワイフが尋ねる。

「ねぇ。学校の幽霊の話って聞いたことがある。」

「あぁ。最近子供たちの間で流行っている『学校の怪談』のこと?」私が応えると、

「違うの。私の学校の図書館のことなんだけど。・・・」

 ワイフは、彼女の通う小学校の図書館の話を始めた。

 図書館司書の話によると、本がひとりでに本棚から落ちることがあるという。
 授業中、司書以外は誰もいない図書館。机上で仕事をしていると、“ドサッツ”という音が聞こえた。気になって、音のした場所へいくと本が落ちているという。子供たちが乱雑に置いていった本が落ちたのだろうと思いながら、本を元の場所に戻す。やがて、本が落ちたことなど忘れていると、また、違う場所で“ドサッツ”という音が聞こえる。
「本当に幽霊の仕業なのかしら。本当にそうなら、気味が悪いは。何か確かめる方法はないのかしら。」と、気味悪そうに話す司書に、ワイフは提案したという。
「だったら、落ちた本は元に戻さないで、こう言うの。『ゆうれいさん。あなたが本を落したんだったら自分で拾って元に戻してね。いい、あなたが元に戻して、私は拾わないわ。』ってね。」

 なるほど、本が元に戻っていたら幽霊の仕業であることがはっきりするのだから。妙案だ。本が書棚から落ちるのは引力の仕業で、決して幽霊がやったのではないと考えるのが普通だ。
だから、本当に幽霊の仕業なのか確かめる必要がある。
 もし仮に本がひとりでに書棚に戻っていたら、これは大事件だ。

 この話を聞いてから、私は図書館で本が落ちていても、そのまま、そっとして置くことにしている。もしかしたら、幽霊の存在を確かめるための試みなのかもしれないから。

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