1.は正に沖縄県の求める内容である。埋立工事は現時点においてすべて停止することになる。問題は、国が停止した状況を、県が確認する方法とそれをどう担保するかだ。工事現場は米軍基地内。米軍の許可がなければ県は立ち入れない。岩礁の破砕状況確認が米軍によって長期間拒否され、沖縄防衛局によって現状変更された事を思い出していただきたい。国が一切の工事を停止している状況を確認することが担保されなければならない。それは可能か?
2.は、県・国が協議を行うとなっているが、これまでの経緯を振り返れば協議がまとまる可能性はない。ならば、この条項の意図はどこにあるのか。ここに隠された政治的意図を見極めたい。
この条項は、違法確認訴訟などの手続きを行うことを認めるという内容だ。つまり、翁長知事の承認取り消しの適法性を審査するということ。
ところで、これまで、国は、大きな過ちを犯した。翁長知事の承認取消しにより、工事が進められなくなったにもかかわらず、行政不服審査法を使って効力を停止し、工事を続行させたことである。行政不服審査法は国民保護を目的とする法律である。この法律を国が使ったことは明らかな違法行為である。
国は、この違法行為を治癒させる、若しくは無きものにしたい。それが1.である。国は、代執行訴訟、行政不服審査法上の申立てもすべて取り下げるという。これによって、すべての手続きが最初から無かったことになる。行政不服審査法手続きの違法も、違法確認訴訟を経ずに行った代執行訴訟の違法性もすべてが無くなり、治癒されるのだ。
翁長知事の承認取り消しにより、止まるはずだった工事を、数々の違法手続きより進めたうえに、その違法手続きを和解によって治癒させようとしている。1.2.の条項に隠された政治的意図だ。
3.は翁長知事の判断を縛ることにある。仮に翁長知事が、承認取消しの撤回をせずに、辺野古新基地建設阻止の公約を実現できなかった責任を取って辞任して選挙となれば、それこそ、政府自民党の狙い通りになる。
そもそも、埋立工事は県知事と名護市長の権限によって事実上停止しているのが現状だ。これを打破するには県知事と名護市長を変えること。これが政府自民党の当面の目標だ。
今回の暫定案には、政府自民党の悪辣な政治的意図が隠されている。
県は、和解案を拒否する以外ない。
2月16日琉球新報に掲載された内容(会見一問一答から抜粋)は以下のとおりだ。