これは大事件です②。伊達判決について「裁判官全員一致での一審判決取消、時期は12月」田中耕太郎最高裁長官(当時)が米国駐日主席行使に明らかにしていた
4月8日のNHKニュースウォッチ9で、司法を揺るがすニュースが報道された。(news Watch9 そのニュース確信はどこだ で視ることができます)
米軍駐留を違憲とした砂川事件。米軍基地拡張への地元住民の反対運動で、学生らが米軍基地に侵入したとして逮捕された事件で、一審の東京地方裁判所は米軍の駐留は憲法9条に違反するとして、被告全員を無罪とした。しかし、その9ヶ月後、最高裁判所は一審判決を取り消し、裁判を東京地裁へ差し戻した。
ところが、その判決に至る経緯の中で、正に、司法の独立を揺るがす行為がおこなわれていた。以下は同ニュースの内容をまとめたものである。
最高裁判決の4カ月前に駐日大使館が国務長官あてに送っていた文書が米国公文書館が公開された。そこには、田中耕太郎最高裁田中長官が、最高裁審理が始まる前、米大使館のベンハート主席行使と秘密会談していたことが記されていた。田中長官は「砂川事件の判決は12月になるだろう」と公にはならない判決の時期を漏らしていた。この時期は、日米が安保改定に向けた作業を進めていた時期。どうしても覆さなければならないという米国の意思が反映されたのではないか。更に田中長官は「裁判官全員一致に意見をまとめ、日本世論を不安定にさせる少数意見を避けるのが望ましい」とも述べ裁判官15名一致での一審判決の取り消しを示唆した。 そして、12月の判決となる。 判決を終えた田中耕太郎長官は記者会見を行い、次のように述べた。「15人の全裁判官が、結論なり理由の極めて重要な点について根本的には一致したということは非常に喜ばしいことだと思っております。」 |
私が記憶する限り、裁判官が判決後に自らの判決内容について記者会見を行うというのは聞いたことがない。しかも、最高裁判決には裁判官の意見(補足意見・反対意見等)が付されるが、それもなく15人の裁判官が一致したことについて「喜ばしい」とまで表現したのは前代未聞である。国民への説明という意味合いよりも、米国へのアピールに重きを置いたものであったのではないかとさえ思う。その証左に米国はこの判決に対して最大の賛辞を送ったと同ニュースで紹介された。
孫崎享氏の「戦後史の正体」では、政財官マスコミ界において対米追随派が支配してきた歴史が記載されているが、司法も同様だったことが明らかにされたことになる。