稲嶺ススム名護市長が敗れた名護市長選挙。そこから見えてくるもの何か。。
そのひとつは、安倍自公政権(日本政府)にとって、沖縄県内選挙で勝つためには、沖縄の基地問題(特に辺野古新基地建設問題)を選挙の争点にしてならないということ。言い換えれば、沖縄での選挙では基地問題を隠し続けなければ選挙には勝てないということだ。
これまでの選挙では、辺野古新基地建設阻止を掲げる候補が勝利してきた。4年前の名護市長選挙、知事選挙、衆参選挙、ことごとそうだった。ところが、辺野古から遠く離れた県内首長選挙ではそうはならなかった。辺野古を争点にしない、辺野古隠しの安倍自公政権の選挙戦略が的中したからだ。そして、今回の名護市長選挙。「辺野古の「へ」の字も言わない」安倍自公政権の選挙戦略が的中した。
この実績から安倍自公政権は今後も、「辺野古のへの字も言わない」選挙戦略を掲げて選挙に臨むに違いない。今後の県内首長・議会選挙、そして11月の知事選挙もである。
沖縄県内選挙において、沖縄の基地問題を争点にしては勝てないことを学んだ自公政権はその準備を着々と進めている。
ところで、安倍首相は、先月2月2日衆議院予算委員会で次のように述べた。
「沖縄の重い基地負担の事実を重く受け止める。現状はとうてい是認できるものではない。しかし、沖縄の基地負担軽減については、これまで様々なプランをあげても日米間協議が難航したり、移設先となる本土の理解が得られないなど、様々な事情で目に見る成果が出なかった」
沖縄に基地を集中させ、辺野古新基地建設を強行する本当の理由が、これまで縷々あげられてきた地理的要因などではなく、政治的理由であることは梶山書簡や森元前防相が述べてきた。そして今回、安倍首相自らが認めた。現職首相が言及したのは初めてだ。自民党が政権を維持するために、選挙に勝ち続けるためには沖縄に基地負担を押し付け続ける必要があると、安倍首相が明言した。
かくして、安倍自公政権は、沖縄の基地負担軽減を隠れ蓑にして、沖縄へ基地負担を押し付け続けるための方策を考えた。それが嘉手納より南の米軍基地の返還である。
基地を嘉手納以北の本島中北部に集中させることにより、沖縄県内において基地の姿が見えないようする。沖縄の南北分断政策だ。選挙民の集中する那覇市、浦添市、宜野湾市の選挙民の目に基地が見えないようにして、選挙では基地が争点化しないよう目論んでいる。仮に争点にされても、基地とは無関係と考える票が増えるように画策しているのだ。
沖縄は騙されてはならない。
今のところ、沖縄の基地負担軽減について司法・立法・行政三権のうち、司法・行政は興味がない。
行政は、米国に追従し沖縄の民意を圧殺し続けながら辺野古新基地建設を強行し、司法は国が翁長知事を訴えた承認撤回の違法確認訴訟で、原告・被告双方の膨大な量の主張書面により争われにもかかわらず、福岡高裁那覇支部は原告、国提出書面丸写しの判決で国の主張を認容し、最高裁判所は翁長知事の主張を一顧だにせず、たった9頁の裁判書きで国の主張を認容した。
沖縄国際大学の前泊教授は講演会で次のような趣旨のことを述べた。みなさん、子どもたちに日本には三権分立の制度があって、私たちの権利が守られています、など教えてはいけません。子どもたちが大人になって、司法が独立していないこの有様を見て、ショックを受けますから、と。場内は失笑に包まれたが、私は笑えなかった。あらためて、主権を持たない、米国にものを言えない司法の姿を目の当たりにしたからだ。
このような状況の中で、私たちは何をなすべきか。
今のところ、司法も、行政も、沖縄の民意を無視している状況にあり、沖縄は自力救済の途を模索しなければならない。司法にも、行政にも頼ることなく、うちなーんちゅ(沖縄人)が今できることを実践し、積み重ねていくことが重要だ。
以下に考えられる方策をあげた。
①辺野古ゲートでの座り込みにより工事を遅らせる。(辺野古新基地建設により沖縄は日米安保の不沈空母となり、さらに日米安保の前線基地となる。沖縄にとって百害あって一利もなし、である)
②米軍機・戦闘機、ヘリ、オスプレイ等米軍機の爆音・排気ガス等による生活環境破壊、身体的・精神的被害についての裁判提訴(嘉手納、普天間訴訟があるが、もっと多くの人たちが声を上げるべきである)
③嘉手納・普天間ゲートで抗議行動への参加。(米軍機・戦闘機、ヘリ、オスプレイ等の爆音・排気ガス等による生活環境破壊、身体的・精神的被害に対する抗議行動)
④基地撤去運動
もの言わぬ民は滅びる。沖縄の自力救済の途を模索し、実践していかなければならない。