【お客様の声、質問】相続人以外の者(例えば祭祀承継人等)の遺産分割協議への参加は可能でしょうか。

2015-04-18

以下の見解は、あくまでも本HM作成者の見解ですので、ご了承ください。

1.遺産分割協議は、相続人でなければ参加できないのが基本と思われます。民法で相続人と規定さらている妻、子、父母、兄弟姉妹等以外の者は相続人となることはできません。

 しかし、遺産分割協議は、相続人らの任意により実施され、同協議書は作成されます。したがって、協議に誰を参加させるかは、相続人の任意であり、相続人全員の同意があれば、相続人以外の者を遺産分割協議に参加させることができるとも考えられます。

2.例えば、祭祀承継(沖縄におけるトートーメー等)について

(祭祀に関する権利の承継)

民法第897条  系譜、祭具及び墳墓の所有権は、前条の規定にかかわらず、慣習に従って祖先の祭祀を主宰すべき者が承継する。ただし、被相続人の指定に従って祖先の祭祀を主宰すべき者があるときは、その者が承継する。

2   前項本文の場合において慣習が明らかでないときは、同項の権利を承継すべき者は、家庭裁判所が定める。

  祭祀承継については、本規定のとおり遺産分割手続きとは切り離され、「慣習に従って」定められるとされています。したがって、相続人以外の者が祭祀承継することは可能となります。そこで、相続人らの任意で実施される遺産分割協議に相続人以外の者が祭祀承継人として参加し、同協議書に祭祀承継人として記載することは許されると考えられます。

3.遺産の取得について

 但し、遺産については、相続人以外の者は相続により取得することはできません。

 相続人がいったん相続し、その後に祭祀承継人に贈与等の手続きを経て譲渡されなければならなりません。

 不動産であれば、相続登記でいったん相続人に移転登記を済ませ、その後に、贈与等を原因とする所有権移転登記を経なければならないと思われます。また、税金についても、相続税が発生した後に、仮に贈与するのであれば贈与税が発生すると思われます。

 以下の見解は、あくまでも本HM作成者の見解です。参考にしていただければ幸いです。

強制執行手続で現金を差し押さえることができると聞きましたが、可能でしょうか

2013-07-16

【質問】 

 売掛金を支払わない相手に対し、少額訴訟を提訴し勝訴判決を得ました。しかし、相手はいっこうに支払う様子がありません。相手は食堂を営んでいるのですが、強制執行手続で現金を差し押さえることができると聞きましたが、可能でしょうか。

【回答】
 可能です。相手に対する判決を使って食堂の売上金を差し押さえることができます。但し、差押え可能な金額に制限があります。民事執行法は、世帯の2月間の必要生計費を勘案して政令で定める額、については差し押さえを禁止しています。これを受けて民事執行法施行令第1条は「政令で定める額は、66万円とする」としています。
 したがって、売上金があったとしても差押可能な額は66万円を超える部分となります。仮に66万円に満たなければ差し押さえはできないことになります。

参考条文

民事執行法(差押禁止動産)
第百三十一条
 次に掲げる動産は、差し押さえてはならない。
一 債務者等の生活に欠くことができない衣服、寝具、家具、台所用具、畳及び建具
二 債務者等の一月間の生活に必要な食料及び燃料

三 標準的な世帯の二月間の必要生計費を勘案して政令で定める額の金銭
民事執行法施行令(差押えが禁止される金銭の額)
第一条
 民事執行法(以下「法」という。)第百三十一条第三号(法第百九十二条において準用する場合を含む。)の政令で定める額は、
六十六万円とする。

【回 答】 憲法に規定されています。

 今回の衆議院選挙は12月4日に公示され、12月16日の投開票が実施されます。この衆議院選挙ですが、憲法54条には次のように規定されています。

第五十四条  衆議院が解散されたときは、解散の日から四十日以内に、衆議院議員の総選挙を行ひ、その選挙の日から三十日以内に、国会を召集しなければならない。

 ちなみに参議院の選挙は「通常選挙」と呼ばれています。国会法2条の3に規定されています。

第二条の三  衆議院議員の任期満了による総選挙が行われたときは、その任期が始まる日から三十日以内に臨時会を召集しなければならない。但し、その期間内に常会が召集された場合又はその期間が参議院議員の通常選挙を行うべき期間にかかる場合は、この限りでない。
○2  参議院議員の通常選挙が行われたときは、その任期が始まる日から三十日以内に臨時会を召集しなければならない。但し、その期間内に常会若しくは特別会が召集された場合又はその期間が衆議院議員の任期満了による総選挙を行うべき期間にかかる場合は、この限りでない。

※なお、この見解は本HMの個人的見解ですので、悪しからず。

 相続人の所在が不明ということですので、所在が分からない相続人(以下「不在者」という)の本籍地(戸籍があるところ)はすぐに分かると思います。

 本籍地には“戸籍の附表”が備え置かれています。戸籍の附表には不在者の住所の変遷が記載されています。これを取り寄せれば一番新しい住所地が判明します。

 ただ、戸籍の附表に掲載されるのは役所等に届けられた場合に限られるので、届出がされていなければ掲載されません。

 なお、戸籍や住民票、戸籍の附表等については行政書士の職務権限で取り寄せることができます。

 委任していただければ業務としてお役に立てます。必要でしたらご用命ください。

 なお、不在者の所在が確認できない場合は、裁判所に不在者財産管理人を選任してもらえば遺産分割協議が可能です。詳細は当HM記事 相続人が行方不明のときはどうしたらいいの(不在者財産管理人の選任)を参照)

 結論から言って、可能です。理由等は以下のとおりです。

【質問の内容】 5年くらい前に父が他界しました。しかし、事情があって遺産相続が終わっていません。母も高齢となり、今後のことを考えて亡父の遺産相続に係る母の法定相続分(1/2)を遺言で長男に相続させることを希望しているのですが、可能でしょうか。

【回  答】可能です。ただ、遺産相続が未了ですので、具体的に不動産、預金、動産等を特定することはできません。あくまでも、持ち分に関する遺言となります。したがって、遺産を分けるためには分割協議が必要になります。

 遺言書の表現としては以下のようになるかと思います。あくまでも参考ですので詳細については専門家にご相談ください。

遺 言 書

 遺言者〇〇〇〇は、以下の不動産を含む被相続人△△△△の遺産相続に係る相続分については、すべて長男××××に相続させる。

  1.不動産 ・・ 

  2.預 金 ・・・・

  3.現 金 ・・・・円

【質問の内容】 過去に経営していた会社(法人)で建設業許可を得ていたので、その経験を活かして新たに許可を得ようと思うのですが、当時の記録・書類等はすべて処分して残っていません。何か証明する方法はあるでしょうか。

【回  答】

 いくつかの方法が考えられますので、順を追って説明します。①建設業許可の記録については、許可を受けた官庁(県庁等)に記録が残っている可能性があります。官庁保管記録であれば証明能力は十分でしょう。問い合わせて記録があれば、担当者と調整して閲覧し、必要な部分をコピーすることになります。

②次に、官庁にも記録が存在しないことがあります。記録等については保存期間があり、それを過ぎると廃棄します。 その場合には「東商企業要覧」に記載があれば認められる場合があります。企業要覧には会社名・住所等の他に許可番号、業績(決算状況)が記載されており、それによって許可を受けていた事実、営業を営んでいた事実等が認められるのです。

 なお、「東商企業要覧」は各年度毎に整理された、かなり大がかりの資料です。一般的には公的図書館で閲覧することが可能です。

③また、経営事項審査を受けている会社については、経営審査会社にデータが残っている可能性があります。公になっているデータについては保存されている可能性がありますので、問い合わせる価値はあると思います。

 いずれにしても、記録のコピー、東商企業要覧のコピー、データ等によって経営業務管理者等の資格認定資料として認めるか否かは許可判断する担当官庁の判断になります。

 当該担当官庁の担当者と連絡を取りながら手続きを進めることが重要です。

 本記載はあくまでも参考ですので、担当者との調整が必要です。

 サービス付き高齢者住宅制度は平成23年に改正された「高齢者の居住の安定確保に関する法律」(クリックでサービス付き高齢者向け住宅HMの同法頁へ) により創設されました。介護・医療と連携し、高齢者の安心を支えるサービスを提供するバリアフリー構造の住宅制度です。この制度は、高齢者が安心して生活できる住まいづくりを推進するために制定されました。居室の広さや設備、バリアフリーといった居住環境のハード面の条件を備えるとともに、ケアの専門家による安否確認や生活相談サービスを提供することなどにより、高齢者が安心して暮らすことができる環境を整えます。
 国は住居の安定確保に向けて、算補助、税制及び融資面での支援措置(クリックで同HMへ)を設けました。
 サービス付き高齢者向け住宅事業者は、都道府県等の窓口で登録の申請を行います。申請が認められると登録完了となり、情報が公開されます。
 登録申請手続きは以下のとおりです。
1 登録窓口への事前確認
 登録基準や申請時の添付書類等については、都道府県独自の基準が設けられている場合があります。御確認を。(地方公共団体毎の問合せ先。クリックで同HMへ)
2 登録申請書の作成(詳細は登録申請方法についてへ。クリックで同HMへ)
(1)アカウント登録(ログインパスワードの取得)
 申請に際しては、住宅・施設(物件)ごとにアカウント登録が必要です。以下は手続の内容です。

①事業者情報を入力・登録

②登録したEメールアドレスにログインパスワード通知メールが送付される  

③取得したログインID(メールアドレス)とログインパスを使って登録システムへログイン 

④各申請書式に情報入力

⑤入力内容を確認  

⑥確定した申請書PDFファイルを印刷

⑦申請書に署名(記名)・押印して完成

3 登録申請手続
(1)添付書類
 添付書類については国土交通省・厚生労働省関係高齢者の居住の安定確保に関する法律施行規則第7条(クリックで同HMへ)に規定されています。

 ちなみに沖縄県の求める申請書への添付書類は以下とおりです。

①付近見取り図

②配置図

③各階平面図

④バリアフリーチェックリスト                    

⑤入居契約約款

⑥建物登記簿等

⑦住宅管理を委託する場合の契約書等

⑧(申請者が法人の場合)登記事項証明書及び定款

⑨入居契約等の基準に関する誓約書

⑩前払金の保全措置を証する書類

⑪欠格要件に該当しないことの誓約書

⑫確認済証の写し

⑬共同部分と居住部分を示した求積図

⑭面積算定表

⑮入居契約書チェックリスト

その他必要に応じて

(2)完成した申請書と添付書類を登録窓口に提出
 ※沖縄県の場合、申請書類一式の、正本2部、副本1部を提出。郵送でも可能です。
(3)申請後の手続
 地方公共団体等での審査が実施され、不備がなければ1、2週間程度で登録完了となり、情報が公開されます。訂正等が発生するとその分の日数が必要となります。

公開された情報等 沖縄県 サービス付き高齢者向け住宅一覧(クリックで同HMへ)

 遺留分については次のように説明されています。 

 遺留分とは,一定の相続人のために,相続に際して,法律上取得することを保障されている相続財産の一定の割合のことで,被相続人(亡くなった方)の生前の贈与又は遺贈によっても奪われることのないものです。(最高裁HM:クリックで同HMへ)

 通常、私たちは自分の財産をどのように処分しようが自由です。自分で使ってしまおうが、他人に贈与しようが自由です。そして、遺言を残すことによって、その自由な処分を死後にも及ぼすことができるのです。ところが、遺言ですべての財産をただ1人に遺贈若しくは相続させた場合どうなるでしょう。相続できるものと考えていた残された家族はどうなるのか。このときの出てくるのが遺留分制度です。民法には次のように規定されています。

民法1028条:兄弟姉妹以外の相続人は、遺留分として、次の各号に応じてそれぞれ当該各号に定める割合に相当する額を受ける。
①直系尊属のみが相続人である場合被相続人の財産の1/3

②前号に掲げる場合以外の場合被相続人の財産の1/2

 ですから、仮に相続分について遺留分を侵害されているような場合は、遺留分を侵害している者に対して遺留分請求することができます。

 但し、遺留分侵害請求権は、遺留分権利者が、相続の開始及び減殺すべき贈与又は遺贈があったことを知った時から1年間行使しないとき、若しくは相続開始の時から10年を経過したときは消滅します(民法第1042条)ので、ご注意ください。

  結論からいうと、この場合は業務上横領罪(刑法253条)になると考えられ、10年以下の懲役に処せられることになると思われます。

 不在者財産管理人(以下「財産管理人」という)の職務は、不在者の財産を管理することです。その選任については、不在者本人の指定、若しくは利害関係人等の請求により家庭裁判所が選任することになります(民法25条)。財産管理人には、裁判所に対する財産状況等についての報告義務も定められています(同27条)。また、管理している財産を売却するような場合には裁判所の許可を得なければなりません(同28条)。このような財産管理人の管理責任については善良な管理者の注意(家事審判法16条)※1をもって行う必要があると規定されています。
 このような他人の財産を管理する責任を有する財産管理人が管理財産をねこばば(金品などを不当に自分の物にすること)すると業務上横領罪に問われることになると考えられます。

 横領罪には一時的に預かったものを横領するような場合に適用される(単純)横領罪がありますが、財産管理人は継続的(不在者が帰ってくるとか、死亡が確認されるまで)管理責任があることから業務上横領罪が適用されることになると考えられます。以下の条文にもあるように、業務上横領罪となると10年以下の懲役に処せられることになります。

(横領罪)
刑法第252条1項  自己の占有する他人の物を横領した者は、5年以下の懲役に処する。

(業務上横領罪)
同第253条  業務上自己の占有する他人の物を横領した者は、10年以下の懲役に処する。

※1 善良な管理者の注意:管理者の職業や生活状況に応じて要求される注意義務
 

【質問】  遺産分割協議をしていますが、協議が整いません。遺産中の預貯金も凍結され引き出すことができませんが、法定相続分であれば引き出せると聞きましたが、可能でしょうか。

【回答】

 一般的には可能かと思われます。
 相続財産中の可分債権(現金、預貯金等)については、最高裁判例(昭和27年(オ)1119損害賠償請求事件クリックすると最高裁HMへ)により、法定相続分に応じて権利を承継すると解されます。つまり、分割協議がなくても当然に法定相続分については権利を取得すると解されます。
 この判例に従えば、当然、法定相続分に応じて引き出すことができることになります。ただ、遺産分割協議で特定の相続人が取得することが予定されているのであれば、分割協議が済むの待つのも一つの方法かと思われます。

  請求の方法としては、自らが相続人であることを示す資料(戸籍謄本等)を示して、当該金融機関に請求することになります。

  食品販売・製造業を営む場合の営業許可については、次のように説明されています。

 食品を製造(調理又は加工)して販売する場合は、食品衛生法に基づく営業許可が必要です。営業許可申請書をその施設の所在地を管轄する保健所長に提出し、許可を受けましょう。(沖縄県HMより) 

 ですから、餃子店を経営する際には、食品営業許可を得ることが必要と思われます。
 申請手続きはお店の所在地を管轄する保健所で行うことになっています。申請書や提出書類等についても管轄保健所に準備されています。保健所HMでも書類等の入手は可能です(沖縄県北部福祉保健所HMの説明はこちらです)。

 なお、保健所毎に申請書式等が異なることもありますので、管轄保健所で確認することをお忘れなく!!

 可能です。

 インターネットを使って中古品のネット販売やオークションを営む際にも古物商等の許可を受けて営業することができます。当HM記事2009:12:16 機械類の中古品販売業を営むにはどのような手続きが必要ですか。(古物商許可を得る必要があります。)に記載された手続に加えて以下の事項が必要になります。

 ①申請書に営業するHMのURLを記載する

 ②プロバイダ等からの資料のコピーを添付(URLの割当通知書等):ドメインの登録内容が、個人許可の場合は本人、法人許可の場合は、法人名、代表者名、管理者名で登録されていることが必要です。

※古物営業に関する情報(警視庁ホームページはこちら)  

  ご質問のような息子がいる場合、親御さんの気持ちとして財産を相続させたくないと思われるかもしれません。その場合、その息子を相続人から排除する手続があります。これを推定相続人排除手続といいます。手続は生前に行う方法と遺言で行う方法があります。
(1)生前に行う場合
  親御さん自身が家庭裁判所に調停を申し立てます。調停での話合いがつかないときには審判に移行し、裁判所が審判することになります。
(2)遺言で行う場合
  遺言書に排除する旨を記載します。被相続人が亡くなって後に、遺言執行者が家庭裁判所に推定相続人排除審判の申立てを行い、裁判所が審判することになります。

 推定相続人排除は民法893条に規定されている手続です。
同条には、①被相続人に対して虐待をしたとき
            ②被相続人に対して重大な侮辱を加えたとき
            ③推定相続人にその他の著しい非行があったとき
 被相続人は、その推定相続人の廃除を家庭裁判所に請求することができるとされています。 

 昨年3月26日、足利再審事件の菅谷さんに対し、宇都宮地裁は無罪判決(関連記事はこちらをクリック)を言い渡しました。その際、これまでの菅谷さんの苦労に対し、裁判官3名が謝罪しました。これを受けて、菅谷さんが宇都宮地裁に申し立てた刑事補償請求について、約8000万円の支払いが決定されたのです。

 この事件のように、無罪の人が逮捕起訴され、収監された場合の補償について規定しているのが刑事補償法です。この法律には次のように規定されています。

 刑事訴訟法(いわゆる刑事事件のこと)による通常手続又は再審等で無罪裁判を受けた者は、未決の抑留又は拘禁を受けた場合には、その者は、国に対して、抑留又は拘禁による補償を請求することができる(第1条)。補償の内容は、その日数に応じて、一日1,000千円以上12,500円以下の割合による額の補償金を交付する(第4条)。補償の請求は、無罪の裁判をした裁判所に対してしなければならならず(第6条)、補償請求は、無罪の裁判が確定した日から3年以内にしなければなりません(第7条)。

 これを菅谷さんの事件に当てはめると、報道によれば身柄拘束期間が約17年半(約6380日)ですから、計算すると、おそらく補償額は最高額の一日12,500円が認められ、総額約8000万円の支払いが決定されたと考えられます。菅谷さん自身も決定後の会見で「期待していた通り」と述べています。

 この手続きについては、補償請求があつたときは、裁判所は、検察官及び請求人の意見を聞き、決定をしなければならない(第14条)とされています。すなわち、一日1,000千円以上12,500円以下の枠で金額を決定する場合には、請求人はもちろん、検察官の意見も聞かなければなりません。これらの手続きを経て最高額が認められたのですから、決定後の会見で同席した泉沢章弁護士が「菅家さんに(逮捕されるような)過失はなく、身体拘束が無実の人になされたと認められた」ということができ、この事件の重大性をあらためて認識することができます。

 相続放棄の申述が受理されて相続放棄の効力が生じた場合、その撤回は許されないのが原則です。但し、以下のような場合いには取り消すことができるとされています(民919条)。
①詐欺又は脅迫による場合
②未成年者が法定代理人の同意を得ずにした場合
③成年被後見人がした場合                                         ④その他
 つまり、相続放棄の効力が生じた場合、他の相続人や第三者の地位を不安定にしないためにも、その撤回は許されないことを原則としながらも、詐欺又は脅迫による場合や行為能力制限者の行為の場合等は、撤回ではなく、相続放棄を取り消すことができるとしたのです。
 このような条件に該当する場合は、放棄の手続きをした裁判所に
相続放棄取消の申述申立てをすることができます。
 そして、その取消しを認めるか否かを家庭裁判所が判断することになります。

(相続の承認及び放棄の撤回及び取消し)

第919条 相続の承認及び放棄は、第915条第1項の期間内でも、撤回することができない。

2 前項の規定は、第一編(総則)及び前編(親族)の規定により相続の承認又は放棄の取消しをすることを妨げない。

3 前項の取消権は、追認をすることができる時から6箇月間行使しないときは、時効によって消滅する。相続の承認又は放棄の時から10年を経過したときも、同様とする。

4 第2項の規定により限定承認又は相続の放棄の取消しをしようとする者は、その旨を家庭裁判所に申述しなければならない。 

 成年後見人や未成年後見人に選任されると、当該被後見人や未成年者の財産管理や身上監護を行うとともに、裁判所から、財産管理状況等についての定期的な報告が求められます。
 求められる報告の内容は、①被後見人や未成年者の身上・生活状況等②財産の管理状況等が主なものと思われますが、特有の問題、例えば相続・不動産の処分等があれば、これらについての報告も必要になります。
 お尋ねの後見事務経過一覧表についてですが、記載内容は大まかな事項で足りると思われます。例えば、身上監護でいえば施設や病院等への入退院等、財産管理でいえば大きなお金の異動等です。しかし、これは詳細部分については管理しなくてもいいということではなく、例えば細かなお金の動き等について、裁判所から質問があったときには必要な資料を提出するなどの対応ができるように準備をしておく必要があります。
 なお、報告書の書式については個々の家庭裁判所で異なるようですので、疑問点等があれば当該家庭裁判所に確認することもできます。

  法律上は破産者は不在者財産管理人にはなれないという規定はありませんので、破産者は不在者財産管理人になれないとは即断できません。

 しかし、不在者財産管理人の選任は裁判所の専権事項であり、かつ利害関係人や検察官の請求により改任することも可能です。不在者財産管理人の業務は不在者の財産管理であり、処分権限はなく(処分するときは裁判所の許可が必要です)、不在者が出現したときには管理財産を引渡さなければなりません。

 その意味において、候補者が破産者であることが明らかな場合は、裁判所としては選任を躊躇するのではないかと思われます。冒頭で述べたとおり、法律上の欠格事由ではありませんので、最終的には裁判所の判断によることになるかと思われます。

 ご存じのように、建設業許可を受けた業者は、毎年、事業年度報告書を提出しなければなります。報告書は事業年度(決算期)終了後4カ月以内に提出する必要があります。これを怠ると建設業許可の更新手続きができないことがあるので注意しなければなりません。

 そこでご質問への回答ですが、私が扱った事例では、提出期限からだいぶ期間が経過していましたが、事業年度報告書を提出したうえで、更新手続きまで行うことができました。ただ、期限を期限を徒過した後の事業年度報告書の提出にあたっては、始末書の提出と個人代表者・法人代表者を同行するように求められました。提出にあたっては二度とこのようなことがないようにとの注意を受けたことは言うまでもありません。

 すべての役場でこのような取り扱いを行っているか否かについては定かではありませんので、まずは確認してみてください。参考までに始末書の書式を紹介しておきます。

〇〇県知事 殿

                     始 末 書 

 この度は、私の不注意、無配慮により諸報告を怠ってしまいました。お詫び申し上げます。今後は、十分注意し、二度とこのようなことが起こらないようにいたしますので、ご配慮くださいますよう、お願い申し上げます。

           平成  年  月  日

                 住  所

                 商  号

                 代表者名               印                                     

  不在者財産管理人の選任は家庭裁判所が行い、財産管理人の監督も選任した家庭裁判所が行います(民法25〜29)。報告書の提出についてもその管理権限に基づいて、裁判所から求められるわけです。具体的な内容については家事審判規則(31条以下)に規定されています。
1 財産管理人の業務は以下の場合に終了すると考えられます。
  (1)不在者の出現
  (2)失踪宣告等による不在者の死亡の確定
  (3)管理財産の消失

2 財産管理を終了するにあたって財産管理人に求められる業務はつぎのことが考えられます。   (1)不在者の出現:この場合は管理財産を出現した不在者に引き渡す

  提出する書類としては、
   ①引渡状況を書面にまとめた管理終了報告書 
   ②引渡したことを証するために、引渡財産目録、受領証等の書面を添付
  (2)失踪宣告等による不在者の死亡の確定:この場合には、管理財産は
相続人に引渡す
  提出する書類としては、
   ①引渡状況を書面にまとめた管理終了報告書
   ②不在者の死亡が確定したことを証する除籍謄本等
   ③相続人であることを証する戸籍謄本等
   ④引渡したことを証するために、引渡財産目録、受領証等の書面を添付

 なお、財産管理人の監督者は選任家庭裁判所ですから、個々の事例においては当該家庭裁判所の指示に従わなければなりません。したがって、不在者の出現、失踪宣告等による不在者の死亡の確定等の事例が発生した場合には、選任家庭裁判所に連絡することが必要です。管理人報酬等の支払いにより管理財産が無くなるような場合には管理報告書のみの提出で足りることも考えられますので、不明な点は当該家庭裁判所に確認することになります。

【管理終了報告書の例】(あくまでも例示ですので詳細は家庭裁判所にご確認ください)

               財産管理終了報告書
○○家庭裁判所 御中
                  平成○○年○○月○○日
                     財産管理人
                      住  所
                      氏  名         

 不在者△△に関する財産管理業務を終了しましたので報告します。
1 終了事由
 (1)平成○○年○○月○○日不在者の出現
 (2)平成○○年○○月○○日不在者の死亡確定
 (3)平成○○年○○月○○日管理財産の消失
 (4)平成○○年○○月○○日(         )
2 別紙財産目録記載の管理財産については、平成○○年○○ 月○○日某氏に引継ぎました。
3 添付書類
  除籍謄本、戸籍謄本、受領書、引渡財産目録・・・ 

 NPO法人を設立するためには以下の手続きが必要です。一般的な内容ですので、詳細についてはご検討ください。
  (1)事前準備
   ①設立趣旨書、定款、事業計画書及び収支予算書(案)作成
   ②設立総会開催
      定款の承認
      設立初年度及び次事業年度の事業計画書の承認
      設立初年度及び次事業年度の収支予算の承認
     粦 設立当初の役員の選任
      その他 
 (2)認証申請
  ①NPO法人事務所所在地の都道府県知事への認証申請(事務所が複数県にまたがる場合は内閣総理大臣あて)
    申請に際しては、設立認証申請書、定款、役員名簿、設立趣意書、事業計画書、収支予算書等が必要になります。 (必要書類等の詳細はこちらをクリック(沖縄県庁HM))
  ②登 記
   主たる事務所所在地を管轄する法務局で登記手続を行います(登記申請書書式についてはこちらをクリック(法務省HM)。登記を完了することによって法人成立となります。  
  ③登記完了届
    登記が完了したら、その旨を認証申請した都道府県知事に届け出ます。   
(3)設立の要件(認証を受けるための要件)
  ①特定非営利活動を行うことを主たる目的とすること。
    どんな活動が特定非営利活動にあたるかについてはNPO法に規定されています。

    次のとおりです。

(NPO法)別表(第二条関係)
一 保健、医療又は福祉の増進を図る活動
二 社会教育の推進を図る活動
三 まちづくりの推進を図る活動
四 学術、文化、芸術又はスポーツの振興を図る活動
五 環境の保全を図る活動
六 災害救援活動
七 地域安全活動
八 人権の擁護又は平和の推進を図る活動
九 国際協力の活動
十 男女共同参画社会の形成の促進を図る活動
十一 子どもの健全育成を図る活動
十二 情報化社会の発展を図る活動
十三 科学技術の振興を図る活動
十四 経済活動の活性化を図る活動
十五 職業能力の開発又は雇用機会の拡充を支援する活動
十六 消費者の保護を図る活動
十七 前各号に掲げる活動を行う団体の運営又は活動に関する連絡、助言又は援助の活動 

    ②営利を目的としないこと
  ③社員の資格得喪に関して、不当な条件を付さないこと
  ④役員(理事3人以上及び監事1人以上)のうち報酬を受ける者の数が、役員総数の1/3以下であること。
  ⑤宗教活動や政治活動を主たる目的としないこと
  ⑥公職選挙法上の公職者やその候補者、政党を推薦、支持し、またはこれらに反対することを目的としないこと
  ⑦暴力団及び暴力団(またはその構成員)の統制下にある団体ではないこと
  ⑧社員が常時10人以上いること(NPO法12条1項4号)  
(4)費用
  認証手続・登記手続きいずれについても費用は不要です。
NPO法人設立手続等については沖縄県庁のHMでも紹介されています。参考にしてください(こちらをクリック)

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沖縄県の中部嘉手納町で行政書士事務所を開設しています。日常生活の中で悩みはなかなか尽きないもの。しかし、どんな問題にも解決の糸口があるはずです。離婚、相続、遺産分割、遺言書の作成、建設業許可に関わる問題等々・・・。あなたのお悩みに最適な解決方法を提案します。
当サイトでは、まず、悩み解決に向けての情報提供ができればと考えています。問題の所在が分かれば、解決に向けての情報収集が必要です。その一助になればと考えています。参考にしていただければ幸いです。

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プロフィール

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こんにちは、行政書士の福地義広です。あなたのお悩みに最適な解決方法を提案します。
登録番号  第08471847号
1960年(昭和35年)11月21日生まれ
家族:両親、妻、息子3人
プロフィールの詳細は代表者あいさつに掲載しました。よろしくお願いします。  

福地行政書士事務所

住所

〒904-0203
沖縄県中頭郡嘉手納町字嘉手納122-1

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しあわせ講話集
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早川一光講話集 CD全12巻

△☆▼☆寂聴さんのおもしろ法話。聴いて、笑って、元気になる! 「瀬戸内寂聴・京都法話集 CD全12巻
☆▼☆△渡辺先生の愛と幸せに満ちたお話 「渡辺和子講話集 CD全12巻
☆▼☆いのちの輝きが教えてくれる豊かな明日への道しるべ 「いのちを見つめて CD全12巻
☆▼☆京都の名物医師・早川先生の元気いっぱい講話集 「早川一光講話集 CD全12巻
☆▼☆実り豊かな毎日へとあなたを導く名講話集 「現代に生きる CD全12巻
☆▼☆日本文化を大切に…高田好胤師の説得力ある法話集 「高田好胤法話集 CD全12巻☆▼☆▲松原先生百歳記念講話集!心豊かな人生を送る秘訣 「松原泰道講話集 CD全14巻▼☆▼☆カマタ流!しあわせに生きる秘訣 「鎌田實講話集 CD全12巻
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