「せんそうしない」(たにかわしゅんたろう ぶん えがしらみちこ え)という絵本がある。
「ちょうちょと ちょうちょは せんそうしない」ではじまるその内容は、心に響く。
きんぎょも、くじらも、すずめも、かもめもせんそうしない。すみれ、ひまわり、まつのき、かしのきもせんそうしない、と綴ったあとにこう続く。
「こどもと こどもは せんそうしない けんかは するけど せんそうしない」
「せんそうするのは おとなと おとな」
「じぶんの くにを まもるため」
「じぶんの こども まもるため」
大人と大人が始めた戦争は、敵の子どもを殺すとともに、自分の子どもも殺す。
戦争による殺戮の状況を「しぬよりさきに ころされる」と指摘する。
死ぬより先に殺されるのだ。常軌を逸する戦争の悲惨さは私たちの記憶に新しいはずだ。
「ごはんと ぱんは せんそうしない」
「わいんと にほんしゅ せんそうしない」
そして、うみ、かわ、つき、ほしもせんそうしないと、絵本は結ぶ。
蛇足だが、車とお肉もせんそうしない。とうもろこしも、チーズも、さらに言えば、オスプレイも、戦闘機も、空母だって戦争しない。
戦争するのは大人と大人(が)自分の国を守るため、自分の子どもを守るためと、もっともらしい嘘の理由をこじ付けて、大人と大人が戦争する。
でも、戦争すれば殺される。敵の子どもが殺される。味方の子どもも殺される。死ぬより先に殺される、のだ。
大人が賢くなれば戦争はしない。そういうことだ。
もしも、仮に戦争をしたいと思う大人がいれば、未来を担う子どもたちに、その席を譲ることだ。その方が賢明だ。
戦争したいと、少しでも思っている大人なんか、つべこべ言わずに、未来を担う子どもたちにその責(席)を譲ることだ。