米軍の求めるPFOS等汚染水の排出など絶対に認められない
米海兵隊は、普天間飛行場の地下貯水槽に保管しているPFOSを含む汚染水を、濃度を軽減して下水道に排出したいと申し出たという。汚染水処理費用が嵩むというのが理由とのことだが、断じて認められない。宜野湾市長も認められないと発言しているが当然だ。
在沖米軍基地のPFOS汚染問題は普天間飛行場だけではない。多くの基地で問題が発覚しているが、嘉手納・普天間両飛行場周辺の河川、井戸、湧水(カー)等からも高濃度のPFOS等汚染数値が検出されている。
昨年令和2年度有機フッ素化合物環境中残留実態調査(沖縄県)によれば、夏季は嘉手納町内井戸9地点から230〜3000 ng/Lが検出され、冬同地点から290〜2800 ng/Lが検出されている。国基準は50 ng/L。最高値は夏季60倍、冬季56倍である。さらに普天間飛行場周辺のマジキナガーでも夏季2000ng/L(基準値の40倍)、冬季1600 ng/L(基準値の32倍)が検出されている。
前記調査報告書では「嘉手納飛行場、普天間飛行場周辺の超過については、基地からの影響である蓋然性が高いと考えており、国に調査及び対策を求めていく」としている。しかし、米軍は県等の申入れを拒み、調査等はまったく進んでおらず汚染除去どころか、汚染源特定の目途も立っていない。
沖縄県企業局による嘉手納基地周辺地下水調査の結果について(令和元年10月23日)によれば、基地外の地下水上流部(東南部)の観測孔では 50ng/L以下が検出されているが、嘉手納基地を通過した基地外の地下水下流部(嘉手納町方向)観測孔及び湧水においては、PFOS 及び PFOA は 200ng/L 以上(基準値の4倍)の値が検出されている、と報告されている。
嘉手納基地の地下を通ってきた水が汚染されて嘉手納町方向に流れ出している。嘉手納基地周辺のPFOS等汚染は嘉手納基地が汚染源である可能性が極めて高い。
さらに、2014年から17年にかけて米軍が嘉手納基地内でPFOS等汚染状況を調査したことが明らかになっている。これについて、2019年6月18日の衆議院安全保障委員会において、沖縄選出の赤嶺議員の質問に、当時の河野外相はこの事実は日米両政府で共有されていると答弁したが、報告書の開示を求めると米軍の「了承」が必要ときた。共有されているPFOS等汚染状況調査結果さえも明らかにされていない。周辺自治体や県は、国に対して結果の公開を求めているが、拒否されたままだ。
米軍基地内の汚染実態を隠蔽したままのPFOS等汚染水の排出など絶対に認められない。必要なのは基地内すべての汚染実態を明らかにし、県民の生命、身体を守るため汚染源を特定し汚染を除去することである。
今回の米軍の申し出は本末転倒だ。
参照本HP記事
(2021/05/29)PFOS等汚染、県国はもちろん、周辺自治体も。この汚染状況を放置することは許されない(令和2年度有機フッ素化合物環境中残留実態調査の冬季調査結果より)
(2021/05/30)PFOS等の汚染源について「嘉手納飛行場、普天間飛行場周辺の超過については、基地からの影響である蓋然性が高い(県調査より)」。県国はもちろん、周辺自治体も、この汚染状況を放置することは許されない
(2019/07/01)PFOS等汚染問題。日本政府は知っていたのに放置し続けてきた!断じて許されない!
(特集ページ)PFOS等汚染問題