4月10日のPFOS等含有泡消火剤の大量流出事故。国県市による基地内立入調査が実施された。調査は水質及び土壌汚染調査のためであり、水・土壌を採取しなければ調査など意味がない。にもかかわらず、米軍はこれを拒否したという。
河野防相は4月24日記者会見で、土壌採取について問われ次のように回答した。「土壌のサンプリング、これはやる必要がある…、今、調整をしている…。」と。ところがさらに追及されると「水のサンプリングをやってわかっていますので、特に絶対必須ということではないのかもしれませんが、どれくらい染み込むのかどうかとですね、そういう環境的な要素があるかどうか、これは環境省と相談だと思います」として環境省に下駄を預けてしまった。米軍により搬出された汚染土壌の保管先についても、河野防相は「承知しておりません。」とした。
沖縄県民の身体生命に影響を及ぼす事案だ。さらには汚染された土地は返還が約束されている。松川宜野湾市長の激高ぶりは当然だ。
環境調査のためには土壌採取・分析調査は必須だ。日本政府の対応は沖縄県民の身体生命など守る必要はないと考えているかのようだ。
5月1日には県、宜野湾市、沖縄防衛局による4回目の立入調査が実施された。土壌撤去後の残土採取が認められたという。しかし意味はない。PFOS等の汚染物質が検出されないのは当然だろうし、これで検出されれば、汚染が拡大、深刻な状況であることを意味する。いずれにしても、米軍が撤去した土壌の分析調査は必須だ。
普天間基地は、時期は未定だが、もうすぐ宜野湾市民の手に戻る。宜野湾市が跡地利用計画を策定しているさなかに発生した環境汚染事故。松川市長が激高したのは当然であり、汚染土壌の採取を求めるのは当然であり、それと土壌汚染採取調査は、市の市民に対する義務だ。仮に土壌汚染除去が進まないのであれば手を尽くさなかった責任は大きい。
河野防相は土壌採取が実現しない現状について「日米合同委員会での調整がつかなかった」としている。しかしよく考えると、汚染していようがいまいが、普天間基地返還にあたり、米軍には原状回復義務はない。義務を負うのは土地を賃借している日本政府だ。米軍が土壌採取を拒否する理由はない。日米合同委員会において土壌採取を拒んでいるのは日本政府ではないか。そう思えて仕方がないのだが。
2017年末から立て続けに発生した米軍ヘリ機材落下や不時着事故。2018年1月30日小野寺防相は、普天間基地に自衛官を派遣して、米軍による機体の確認・整備状況が妥当なものかどうかを知見がある専門家により確認すると発表したが、同年11月9日後任の岩屋防相は「自衛官による基地内立入調査はない」と発表して結局実施されることはなく、沖縄県民の身体生命財産への脅威は放置された。
今回もその二の舞とならぬよう、沖縄県、宜野湾市の奮闘を期待する。
以下米軍ヘリからの落下物事故などへの日本政府の対応経緯(本HM記事参照)
①官邸邸主導のフェイクニュース。すべてが沖縄の選挙対策だった!〜自衛官による普天間基地への立入り調査は、もともと嘘だった。沖縄の選挙向けの政府の猿芝居にすぎなかった〜