可能です。
 訂正の手続は公正証書遺言作成とほとんど同じです(当HM記事自筆証書遺言、秘密証書遺言、公正証書遺言について教えてください参照)。訂正とは言っても、その内容は既に作成した遺言書(以下「旧遺言書」という)の一部を撤回して、撤回部分についてのみ作成する新たな遺言書(以下「新遺言書」という)を作成することになります。ですから、証人2名も必要ですし、戸籍謄本や不動産登記簿等の書類の提出も必要です。

 ただ、戸籍謄本などは、旧遺言書を作成した際の内容に変更がなければ、その時に使った古いものでも使用できることもありますので、公証人役場に確認した方がよいでしょう。 新遺言書の内容は、先の遺言書の内容の一部を撤回して新たな遺言内容が記載されます。また、旧遺言書には一部撤回された旨が付記されます。

 遺言者が亡くなって遺言を執行するためには、新旧両遺言書が必要になりますので、注意が必要です。

【質問】公正証書遺言の内容に条件を付けることは可能でしょうか。例えば、別居している子どもに対して、実家に戻ったら財産を相続させるというのは可能でしょうか。

【回答】公証人役場にも確認したところ、結論としては可能です。

 遺言書は、遺言者の意思に基づいて作成されるのですから、遺言者の意思を最大限尊重するのは当然のことです。ただ、遺言の内容によっては法律的に不適切と判断される可能性もあることから事前に公証人と打ち合わせをすることが必要になります。

 ただ、ひとつ懸念される点があります。それは、相続が発生した場合に、遺言書に付された条件が満たされているのか否かの判断を誰がするかという点です。明らかな場合はいいのですが、条件が満たされているのか否か微妙な判断を要する場合は、争いが発生する可能性があります。

 遺言書を作成するのは遺言者亡き後の遺産相続について争いを発生させないようにするためだと言われます。その点からすると条件を付したばっかりに争いが発生するような遺言書の内容は、遺言書としてふさわしいといえるか疑問の残るところです。

 私の個人的見解としては、仮に条件を付す場合は、遺言書の執行段階において紛争を発生させることがないように十分に注意する必要があると考えます。

 遺言書の内容は亡くなった方(以下は「被相続人」といいます)の意思であり、基本的にはこれを尊重しなければならないと考えるのが普通でしょう。したがって、間違いなく被相続人の遺言であると確認できれば、内容のとおりに執行されるのが普通でしょう。この場合に遺言の内容に不満がある一定の相続人は遺留分請求を行うことができます。(詳細はこちらをクリック2010:01:31 相続の際の遺留分って何ですか。)

 ご質問の趣旨は、遺言書の内容に疑義がある場合と思われますが、この場合は、家庭裁判所に遺言無効調停や遺産分割調停を申立てるなどして相続人間の話し合いで解決を図る方法があります。ただ、それで解決できない場合は、地方裁判所に遺言無効の訴訟を提起することになります。訴訟になると、遺言が法定の形式に則って作成されているかがひとつの判断基準になります(詳細はこちらをクリック2010:02:26 自筆証書遺言、秘密証書遺言、公正証書遺言について教えてください。)。相続人間での話し合いでの解決が困難で訴訟提起が必要と思われるような場合は、早めの専門家への相談をお薦めします。

 ひな型は一般的に参考となる書式を表示したものです。現実に作るとなるとひな型どおりにはいかないことが多いものです。掲載したひな型をご使用の際は、ご検討のうえ、ご自身の責任のもとでお使いいただくようお願いします。                                  なお、ご質問、ご相談等ございましたら当事務所あてご連絡ください。

書込形式  一般的遺言 相続人以外への遺贈 事業承継遺言   
    信託遺言  認知遺言   

注意)自筆証書遺言では全文を自書することが要件ですので、この書込式は遺言書をまとめる際の下書き等にご使用ください。
                      遺 言 書
  遺言者                は、この遺言書により別紙のとおり遺言する。


平成   年   月   日

       住 所                           

       遺言者              印

 

 
 

 (別紙1 不動産)


     遺言者は、次の財産を               に相続させる。
        (1) 土  地

           所 在(                           )                    
           地 番(                           )            
           地 目(                            )            
           地 積(                 )            
       

       (2) 建 物

           所 在(                           )         
         家屋番号(                            )           
           種 類(                           )     
           構 造(                           )   
          床面積(                           ) 

 

(別紙2 預金等)


 遺言者は、次の財産を                に相続させる。
    (1)定期預金            
       銀行名   (                   )
     証書番号    (                    )
      金 額      (                   )        

   (2)普通預金
       銀行名   (                   )
     預金の種類 (                    )
      口座番号  (                   )

     (3)現 金     (金               円)           
 
   (4)株 式
        株式会社○○の株式      株  
                             
                           

 注)自筆証書遺言では全文を自書することが要件ですので、この書込式は遺言書をまとめる際の下書き等にご使用ください。

          遺 言 書
遺言者沖縄幸太郎は、次のとおり遺言する。
1  以下の不動産を、長男沖縄太郎に相続させる。    
     ①  所 在  那覇市○○
        地 番  123番
        地 目  宅地
        地 積  456平方メートル
      ②  所 在  那覇市○○123番
       家屋番号 123番3
        種 類  事務所兼居宅
        構 造  鉄筋コンクリートブロック2階建  
        床面積   1階70平方メートル
                2階30平方メートル
2  以下の不動産を、長女沖縄花子に相続させる。
     所 在  浦添市○○
     地 番  123番
     地 目  雑種地
     地 積  456平方メートル
3  以下の財産を、妻沖縄幸子に相続させる。
     定期預金
        銀行名  ○○銀行○○支店
        証書番号 1234567
        金 額  金2000万円

     平成22年2月22日
            遺言者 沖縄幸太郎   印
 

           遺 言 書
遺言者沖縄太郎は、次のとおり遺言する。
1 遺言者の孫那覇真太郎(平成○○年○○月○○日生 亡長女那覇真理子の長男)に対して、次の遺産を遺贈する。
    定期預金
      銀行名  ○○銀行△△支店
     証書番号  1234567
       金 額 金2000万円
2 遺言者の財産中、次の財産を、内縁の妻である宮古琉子(昭和○○年○○月○○日生)に遺贈する。
    土 地
     所 在  那覇市○○
     地 番  123番
     地 目  宅地
     地 積  456平方メートル
    建 物
     所 在  那覇市○○123番
     家屋番号 123番3
     種 類  事務所兼居宅
     構 造  鉄筋コンクリートブロック2階建
     床面積  1階70平方メートル
            2階30平方メートル   
3 以上に記載した以外の財産は、二女広子及び三女好子に各2分の1ずつ相続させる。
4 遺言執行者として次の者を指定する。
   沖縄県中頭郡嘉手納町○○番地
      沖 縄 琉 太

 
              平成  年  月  日

                 遺言者 沖 縄 太 郎
注)
 相続人に対しては「相続させる」と記載するのが一般ですが、相続人以外の者に譲渡する場合は「遺贈する」となります。 

 (認知して財産を取得させる場合)
         遺 言 書
遺言者沖縄太郎は、次のとおり遺言する。
1 次の者は、遺言者と宮古琉子との間の子であるので、これを認知する。
    本 籍 沖縄県那覇市○○番地(筆頭者 宮古琉子)
    住 所 沖縄県沖縄市○○番地
         宮古一郎(平成〇〇年〇〇月〇〇日生)
2 遺言者が認知した宮古一郎に対して、次の財産を相続させる。
  定期預金
    銀行名 ○○銀行△△支店
   証書番号 1234567
    金 額 金2000万円
3 遺言執行者として次の者を指定する。
    沖縄県中頭郡嘉手納町○○番地
       沖 縄 琉 太

              平成  年  月  日
                 遺言者 沖 縄 太 郎

 (胎児認知して財産を取得させる場合)
     遺 言 書
遺言者沖縄太郎は、次のとおり遺言する。
1 次の者が懐胎している胎児は遺言者の子であることを認知する。
    本 籍 沖縄県那覇市曙○○番地
    住 所 沖縄県沖縄市越来○○番地
         宮古琉子(昭和○○年○○月○○日生)
2 前条の者が懐胎している胎児に対し、次の財産を相続させる。
  普通預金
    銀行名 ○○銀行△△支店
   口座番号 1234567
3 遺言執行者として次の者を指定する。
   沖縄県中頭郡嘉手納町○○番地
     沖 縄 琉 太
              平成  年  月  日
                 遺言者 沖 縄 太 郎

 注)遺言者が亡くなった後の認知届出の手続
(1)遺言による認知の届出は遺言執行者が行います。届出は遺言執行者となってから10日以内しなければなりません。(戸籍法64条)したがって、遺言認知する場合は遺言執行者を選任しておいた方がよいでしょう。
(2)遺言書で遺言執行者が定められていないときは家庭裁判所に遺言執行者選任の申立てを行い、選任してもらう必要があります。(手続の説明、申立書式等:最高裁HMこちらをクリック)
(3)認知に関する民法上の規定
①成年の子の認知には本人の承諾が必要です。(民法782条)
②胎児の認知には母親の承諾が必要です。(民法783条1項)

          遺 言 書
遺言者沖縄太郎は、次のとおり遺言する。
1 遺言者が創立し、発展させてきた株式会社琉球の繁栄を願い、遺言者の会社経営を支えてきた長男敬を同社の後継者と定める。
2 遺言者の所有する次の遺産を長男敬に相続させる。  
 ①株式会社琉球の株式300株
 ②株式会社琉球が使用している次の土地・建物
   土 地
    所 在 沖縄県那覇市○○
    番 地 12番
    地 目 宅地
    地 積 300平方メートル
   建 物
    所  在  沖縄県那覇市○○番地
    家屋番号 12番の2
    種  類  住宅兼店舗
    構  造  鉄筋コンクリート造平家建
    床面積   50平方メートル
3 以上記載以外の財産は、すべて、妻陽子及び二男智に各2分の1ずつ相続させる。
   
       平成  年  月  日
         
           遺言者  沖 縄 太 郎  印

注)
 遺言書はどの財産をどのように処分する(誰に相続させる)のかが重要であり、余計なことは書かない方がよいと言われていますが、この例のように取得分が明らかに不平等のような場合には、遺言者の意思が相続人らに届くように、遺言者の考えや思いを記載することは、後日の紛争を回避するためにも必要かと思われます。
 

 遺言書の保管者や遺言書を発見した相続人は裁判所に検認手続を請求しなければなりません。手続については、2010:01:28遺言書には検認手続が必要と聞きましたが、どんな手続きですか。(こちらをクリック)で御確認ください。
 ちなみに、検認を経ていない遺言書の取り扱いについては、「
検認を経ない自筆遺言書に基づく相続登記申請は受理されない(平7.12.4民三第4343号法務省民事局第3課長回答)」となっているようですので、公正証書遺言書以外の遺言書は裁判所の検認を経ていなければ相続登記ができません。また、金融機関での預金の引出にについても、検認を受けてなければ引き出しできないものと考えられます。
 結論としては、公正証書遺言書以外の遺言書については裁判所の検認を経ないで相続手続きを行うことはできないということになります。 

  遺言執行者は遺言の執行を行います。遺言書に記載された内容を現実化するための作業を行うことになります。

(1)遺言者執行者になれない者  未成年者及び破産者は、遺言執行者にはなれません(民法1009条)。したがって、遺言者が仮に遺言で、未成年者や破産者を指定したとしても、無効ということになります。

(2)遺言執行者の指定  遺言者は遺言で、遺言執行者を指定することもできますし、その指定を第三者に委託することもできます(民法1006条)。指定しなくても構いません。遺言執行者がいないときに、 必要があれば、相続人等の利害関係人が家庭裁判所に指定の申立てを行い、家庭裁判所に選任してもらえばよいのです(民法1010条)。

(3)遺言執行者の仕事  遺言執行者は、まず、相続財産の目録を作成して、相続人に交付する必要があります。 遺言を執行するにあたって、その内容を示すわけです。また、相続人の請求があるときは、その立会いをもって作成し、若しくは公証人に作成させなければなりません。                                                        (民法1011条)

(4)遺言執行者の権限  遺言執行者は、相続財産の管理その他遺言の執行に必要な一切の行為をする権利義務を有します(民法1012条1項)。相続人が遺言無効を主張する場合の被告になることもあります。

(5)遺言執行者の報酬(民法1018条1項) 遺言者が遺言で報酬を定めたときはそれに従います。定めてないときは、家庭裁判所に申し立てて定めてもらうことができます。

 公正証書が無効と判断された判例があります。内容は以下のとおりです。
【事 例】
 遺言者甲は重い内臓疾患で入院していたが、人が声をかければ返事をするが理解していたかどうかは疑わしい状況であった。その甲が認知する旨の遺言をしたいとの連絡を受けた公証人が病院に赴いた。公証人は、甲に対して、「子供のことで遺言するというのは本当か」と聞いたところ甲はうなづいた。続けて「乙を子として認めるという公正証書を作ってよいか。」と聞いたところ甲はうなづいた。更に「乙はあなたの子に間違いないか」と聞いたところ甲がうなづいたので、その旨の公正証書を作成した。この遺言に異を唱えた相続人が遺言無効確認訴訟を提起した。
【裁 判】
 一審裁判所は公正証書遺言を有効と判断しました。
 控訴審では、うなづくだけで、遺言の趣旨を把握できる程度の口述をしていないから、遺言の要件である口授(民法969条2号条文参照)はなされていないとして、遺言は無効であると判断されました。
 上告審では「遺言者が、公正証書によって遺言するにあたり、公証人の質問に対し言語をもって申術することなく単に肯定または否定の挙動に示したにすぎないときには、民法969条2号にいう口授があったものとはいえず、このことは遺言事項が子の認知に関するものであっても異なるものではないと解すべきである」として、遺言は無効と判断されました。

 この判例は、公正証書遺言については、口授が要件とされているので、公証人の質問に対して、単に肯定または否定の挙動に示したにすぎないときには、口授があったものとはいえず、遺言は無効と判断されることになるとしています。公正証書遺言をするにあたっても、遺言者が真意に基づいて遺言できる状況にあり、その内容を口授により示すことが必要になることを、この例は示しているといえるでしょう。
【民法962条】
(公正証書遺言)
第九百六十九条 公正証書によって遺言をするには、次に掲げる方式に従わなければならない。
一 証人二人以上の立会いがあること。

二 遺言者が遺言の趣旨を公証人に口授すること。
三 公証人が、遺言者の口述を筆記し、これを遺言者及び証人に読み聞かせ、又は閲覧させること。
四 遺言者及び証人が、筆記の正確なことを承認した後、各自これに署名し、印を押すこと。ただし、遺言者が署名することができない場合は、公証人がその事由を付記して、署名に代えることができる。
五 公証人が、その証書は前各号に掲げる方式に従って作ったものである旨を付記して、これに署名し、印を押すこと。

  遺言は民法で形式が定められ、普通方式と特別方式とに分けられます。お尋ねの遺言方式は普通方式になります。特別方式とは死亡の危急が迫った者の遺言、伝染病隔離者遺言、在船者遺言等がこれにあたります。

(1)自筆証書遺言

  遺言者が、その全文、日付及び氏名を自分で書き、押印することが必要です。これに違反すると無効とされる可能性が高くなります。

(2)秘密証書遺言

  遺言者が作成した遺言書(遺言書に押印された印鑑で封印をされたもの)について公証人と証人2人以上がこれを確認し、通常は更に大きな封筒に入れて封をし、その封筒に公証人及び証人が署名・押印する手続です。この方式は手続が細かく指定されていますのでその方式従って作成することが必要です。方式に違反すると無効とされる可能性が高くなります。

(3)公正証書遺言

  遺言者が公証人に遺言の内容を申し述べ、公証人がその内容筆記して遺言書を作成します。更に作成された内容を遺言者に確認のうえ遺言者、公証人、証人2人以上、が署名・押印して完成となります。

(4)遺言の有効・無効の判断  遺言の有効性が問題となった場合、相続人等の話し合いで解決がつかなければ、訴訟を提起し、裁判所の判断に委ねることになります。その際に定められた方式に違反があれば無効と判断される可能性が高くなります。せっかく残した遺言が無効と判断されるのは遺言者にとっては本意ではないはずです。きちんとした方式の則った遺言書を残すことが必要です。

(5)手続きの一覧表

 

作成者 

公証人

の関与 

証人の

要否

作成費用 

遺言書

の保管 

検認の

要否 

実費 

公証人費用 

自筆証書遺言 

遺言者 

不要 

不要

〇 

 ×

遺言者の

責任で保管 

 必要

秘密証書遺言 

遺言者

必要 

必要 

 〇

定額1万1千円

注1) 

遺言者の

責任で保管

 必要

公正証書遺言 

公証人

(遺言者

の申述に

基づく) 

必要 

必要 

 〇

 金額と人数による

注2)

公証人役場

 不要

 注1)秘密証書遺言の公証人費用についてはこちらをクリック(公証人連合会のHMです。左側再度メニューの太枠5番目の手数料をクリックしてください。)

 注2)注1)の証人連合会のHMに詳細があります。ちなみに、公正証書遺言で1億円を妻1人に遺言で相続させる場合は4万3千円になります。

  民法には遺言の方式は民法に定める形式に従わなければならないと規定されています。したがって、遺言は自筆証書、公正証書又は秘密証書によって作成しなければなりません。但し、特別の方式による場合はこの限りではないとされていますが、特別の方式も民法に規定されています。
 それでは方式に従っていない場合はどうなるのでしょうか。
 相続が開始し、遺言書(公正証書は不要)を預かっている人や発見した人は家庭裁判所に申出て遺言書の検認手続(詳細こちらをクリック)を受けなければなりません。検認を受けた遺言書でなければ預金等の引き下ろしや不動産等の移転登記はできませんの必ず検認を受けなければなりません。
 ここで、一つの問題が発生します。民法に定める形式に従わない遺言書について、家庭裁判所は遺言書の検認手続を拒否できるかということです。
 一般に遺言書の検認手続は遺言書の有効・無効を判断する手続ではなく、後日の紛争(遺言無効の訴え等)に備えての証拠保全手続と言われています。この考え方に立てば家庭裁判所は検認を拒否することはできないことになります。したがって、検認を受けた遺言書であれば預金等の引き下ろしや不動産等の移転登記手続等が可能になりますので、民法に定める形式に従わない遺言書についても実行が可能となります。
 もちろん、民法に定める形式に従わない遺言書は後日遺言無効の訴等が提起されれば無効と判断される可能性が高くなります。裁判等で無効が確定すれば、預金の返還請求や不動産等であれば真正な登記名義の回復請求等の財産の取り戻しの手続、裁判に発展していくことになります。
 なお、以上は私の調べた範囲での見解ですので、これが一般的に認められるかがどうかは不明です。一つの考え方として参考にしていただければと思います。

 遺言書の検認は、遺言者が死亡して相続が開始したときに、遺言書を家庭裁判所に提出して、その状況を裁判官、裁判所書記官、出席相続人で確認する手続と考えていただければいいと思います。手続の手順は次のようになります。

 遺言者の死亡 → 遺言書の発見(保管も含めて) → 裁判所への検認申立 

     → 検認期日が指定され相続人全員に通知(裁判所が行います)

   → 検認期日に遺言書を確認 (筆跡、印影等)

   → 検認状況について調書作成(裁判所が行います)

 出席しなかった相続人には検認が終了した旨、裁判所から通知されます。 

   →  遺言書への検認 終了の記載(裁判所が行います) 

     → 財産の移転(不動産登記,金融機関からの預貯金引出等)

1.検認が必要な遺言書:自筆証書遺言、秘密証書遺言及び特別方式の遺言等。

 公正証書遺言以外はすべて必要です。

 2.検認手続の意義 検認手続は遺言書の状況(筆跡、印影等)を裁判官、裁判所書記官、出席相続人で確認する作業です(開封については相続人若しくは代理人の立会いがないと開封できません)。遺言書の有効・無効を判断する手続ではありません。それゆえ、後日の紛争(遺言無効の訴え等)に備えての証拠保全としての意義を有すると言えます。後日、遺言書の状況を知りたいと思えば、検認手続を行った家庭裁判所で確認することができます。

 3.封緘されていない遺言書を見つけた場合や誤って開封してしまった場合はどうすればよいのでしょうか。 民法1004条は遺言書の保管者及び発見者に検認手続を義務づけています。現状のままで検認申立をすればいいのです。民法1005条は遺言書の提出を怠ったり、検認を受けないで遺言書を執行したり、家庭裁判所外で開封した者は5万円以下の過料に処すと規定していますのでくれぐれもご注意ください。

 4.検認申立手続

  申立書式等、申立ての方法はこちらをクリック(最高裁HM)
 

  まず、遺言書のひな型を掲載しましたのでご覧ください。

                          遺 言 書

 遺言者小那覇花男は、本遺言書により次のとおり遺言する。

1.遺言者は、次の財産を長男小那覇太郎に相続させる。

  土地(1) 所 在 沖縄県那覇市△△
         地 番  12番                                      
         地 目 宅地                                       
         地 積 123平方メートル          
                     
  建物(2) 所 在 沖縄県那覇市△△12番地
       家屋番号 12番の1                                      
         種 類 居宅兼事務所                                       
         構 造 鉄筋コンクリートブロック造陸屋根平家建
        床面積 98.76メートル

  預金(3) 銀 行 名   ○○銀行△△支店
       預金の種類  普通預金
       口座番号    123456
  

2.遺言者は、次の財産を二男小那覇次郎に相続させる。

  定期預金(4) 銀 行 名   ○○銀行△△支店
          預金の種類  定期預金
           証券番号   654321 
           金  額   1000万円

     現金(5) 現 金    100万円

3.遺言者は、上記以外の財産全てを、妻小那覇花子に相続させる。

  平成21年1月27日

          遺言者                  

  遺言書の作成で重要なのは、どの財産を、誰に相続させるのかを明確にすることです。財産の特定方法としては次のような表記の方法が考えられます。
 ①土地、建物等の不動産であれば、登記簿に掲載されている内容を書けば十分でしょう。(ひな型参照)
 ②預貯金等についても、通帳や定期預金証書等に掲載されている内容で十分でしょう。(ひな型参照)

 肝心なのは、遺言の対象となっている財産がどの財産なのかを、遺言者が亡くなった後に間違いなく特定できるようにすることです。そして、誰にあげるのかを明確にすることです。 上記はあくまでも一般的な記載ですので、個々の事例によっては工夫すべき点が多いものです。ご質問、御相談等ございましたらご連絡ください。

 遺言は自らの財産の処分についての最後の意志表示です。通常、自らの財産の処分は自由ですが、その自由な処分の意志を死後に示す、あるいは効果を及ぼすのが遺言といえます。ですから、財産の処分についてすでに意志を固めている場合は、遺言書を作っておいた方が良いでしょう。

 相続による遺産分割をする場合には、基本的には相続人間の自由な協議によって相続分を決めることができます。遺言書があっても、相続人全員の協議で、遺言書に示された以外の分割方法を決めることができます。また、遺留分(民法1028条)を侵害されている場合は遺留分減殺請求(民法1031条)をすることができます。遺言で一銭も財産をもらえなかった場合でも遺留分減殺請求が認められれば、相続できる可能性があるわけです。

 だからと言って遺言書を準備する意味がないわけではないと思います。遺言書を残すことによって、その後の財産分けの基本となる被相続人(亡くなった人)の意志が示されるわけですから、当然それを無視することはできないわけです。

 親の死後に、親が子供のために残した財産の分割で骨肉の争いを繰り広げることは、望むところではないはずです。多数の財産を有している方ほど、遺言書は準備すべきではないかと考えます。

 人の欲望は財産が大きければ大きいほど強くなります。目の前に示された財産が大きければ大きいほど取り前を多くしたいと思います。これが人の常でしょう。ところがそれが原因で家族仲が悪くなるというのは不幸です。お互いが譲り合って更に絆を強くすることもできる半面、最悪の事態を招く可能性もあるわけです。最悪の事態を避けるためにも遺言書は必要かもしれません。特に財産を多くお持ちの方については、あえて言わせていただければ、義務にも近い責任があると言えるかもしれません。 

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