【質問】公正証書遺言の内容に条件を付けることは可能でしょうか。例えば、別居している子どもに対して、実家に戻ったら財産を相続させるというのは可能でしょうか。
【回答】公証人役場にも確認したところ、結論としては可能です。
遺言書は、遺言者の意思に基づいて作成されるのですから、遺言者の意思を最大限尊重するのは当然のことです。ただ、遺言の内容によっては法律的に不適切と判断される可能性もあることから事前に公証人と打ち合わせをすることが必要になります。
ただ、ひとつ懸念される点があります。それは、相続が発生した場合に、遺言書に付された条件が満たされているのか否かの判断を誰がするかという点です。明らかな場合はいいのですが、条件が満たされているのか否か微妙な判断を要する場合は、争いが発生する可能性があります。
遺言書を作成するのは遺言者亡き後の遺産相続について争いを発生させないようにするためだと言われます。その点からすると条件を付したばっかりに争いが発生するような遺言書の内容は、遺言書としてふさわしいといえるか疑問の残るところです。
私の個人的見解としては、仮に条件を付す場合は、遺言書の執行段階において紛争を発生させることがないように十分に注意する必要があると考えます。