中米関係の行方は〜崔天凱駐米中国大使が語る北朝鮮、日本、そしてアメリカ・・(フォーリン・アフェアーズ・リポート6月号)より〜
6月7,8日の二日間にわたって行われた米中首脳会談。この会談ついて今朝(11日付)の朝日新聞は「・・計8時間も膝を詰めで語り合った異例の初会談が終わった。双方はともに関係が深まったと成果を強調する。ただ、両国を対話に駆り立てたのは、衝突を避けなければ、との危機感にほかならない。」と総括する。
フォーリン・アフェアーズ・リポートの今月6月号に掲載された“崔天凱駐米中国大使が語る北朝鮮、日本、そしてアメリカ”の中で語られる米中関係についてのくだりは、朝日新聞の指摘が正しいことを示している。
米中間の力関係について、崔米中国大使はその差を認めるとともに、中国が既存の国際秩序に自らを統合させようとしてきたと述べている。その内容は以下(抜粋)のとおりだ。
アメリカと中国を同じパワーのカテゴリーでとらえるのは、過度の単純化というものだ。アメリカの方が中国よりもはるかに先をいっているし、より力強い国家だ。中国は巨大な国だが、依然として、経済、科学技術、軍事力のいずれの指標でみても途上国だ。・・アメリカと肩を並べる・・には、まだ時間がかかる。 ・・改革・解放路線をとるようになって以降の中国は既存のグローバル秩序に自らを統合しようと試みてきた。・・ |
しかし同時に、同大使は、国際ルールの中にはルール作りに中国が関与していないもの、また世界は常に変化している、との理由から、次のように述べている。
だが、われわれが(国際システムや国際ルールの)革命を求めているわけではない。われわれは、必要とされる国際システムの改革は支持するが、システムを覆すつもりも、新しいシステムを作るつもりもない。 |
改革は求めるが、国際システムを覆すような革命は求めないとの発言は、現在の複雑なシステム変革が不可能だとの見方にもよるのかもしれない。ただ、一方で、中国が現在のシステムに満足していないことは明確に示されている。だからこそ、その改革を目指すとしている。
そして、中国の求める国際ルールの見直しについて、G20を例に挙げ、次のように述べている。
・・G7ともG8とも違うG20には、既存の大国だけでなく、インド、ブラジル、南アフリカ、ロシアが参加している。中国もG20のメンバーで、すでにこのフォーラムで重要な役目を果たしている。歴史上初めて、これらの諸国は平等な立場でテーブルに着き、主要な経済、金融領域の問題を議論している。われわれが必要だと思っているのは、この類の変化だ。 |
そして、米中関係のあり方については次のように述べている。
われわれが本気で新しいタイプの関係を築いていくつもりなら、互いに立場を調整し、相互理解を深めなければならない。それは、たんにわれわれがアメリカを助けたり、あるいは、たんにアメリカが中国を助けたりするような関係ではないはずだ。互いに助けあう必要がある。 |
当初、米国は大国であり、中国との力の差は歴然としているとしながらも、最後には米中関係は相互に助け合う関係でなければならないと述べている。しかも、国際ルールの改革についても意欲を見せている。
今後、中国は米国と肩を並べる大国へと成長していくことに意欲と自信を持っているように見える。
米中の対立激化がもたらす不利益は両国のみにとどまらない。日本を含め世界に飛び火することは間違いない。その危機回避のために今回の日米首脳会談が行われたことは、どうも間違いないようだ。