沖縄の平均寿命低下の原因は脂肪摂取過多による肥満が原因ではない(月刊誌「選択」4月号より)
月刊誌「選択」4月号に興味深い記事を見つけた。
2013年の都道府県別平均寿命ランキングについての記事である。新聞報道にもあったとおり、沖縄県の順位は女3位、男30位と長寿県とはいえない状況にある。
この原因について医学博士柴田博は次にように述べている。以下は同誌からの抜粋である。
・・「沖縄は、食生活の欧米化が早く、脂肪摂取が多かったのでそのつけがきている」「そのために肥満者がふえ、生活習慣病、特に動脈硬化性の病気による死亡が増えている」等々である。まことしやかに聞こえるが、これは間違った見解なのである。 |
それでは、原因はどこにあるのか。同氏はまず、沖縄における脂肪及びエネルギー摂取量について1982年から2013年までの沖縄県庁公表資料に基づいて指摘する。それによると、脂肪及びエネルギー摂取量は減少し続け、2008年からは全国平均を下回っている。にもかかわらず、平均寿命低下は改善していない。
原因について次のように指摘する。
・・沖縄の肥満度は、全国平均より高いことは確かであるが、それが平均寿命をのランキングを下げているわけではないことに気づいていない。ランキングのもっとも高い死因は、慢性閉塞性肺疾患で男女ともに全国一位である。次いで肝疾患、男性一位で女性二位である。リスクファクターとして、前者はタバコ、後者はアルコールである。ともにやせに多い。その次にランキングの高いのが自殺、男性八位女性四位、これも肥満リスクファクターではない。 その一部に肥満が関連する心疾患死亡率は、男性二十八位女性四十二位、脳梗塞死亡率は男女とも四十七位と全国最下位なのである。沖縄県に肥満が多いことが平均寿命のランキングを低下させたと短絡させてはならない。 |
そして、次のように警告する。
沖縄の平均寿命のランキングの低下はまず男性に表れた。これはストレス社会の特徴である。タバコや酒の害もそういう社会では表出しやすい。肥満もその部分現象の一つである。それを知らず、学者と行政とマスコミが協働で沖縄の低栄養化を促進してしまった所に悲劇の本質がある。 |
癒しの島として観光を売りしている沖縄が、実はストレス社会となっているとの指摘は驚きである。何が問題なのか、掘り下げるみる必要があるようだ。
沖縄では、復帰特別措置で泡盛については酒税軽減措置がとられてきたが、昨年さらにその延長が認められた。安価で酒が手に入りやすい状況も問題を悪化させているとはいえないだろうか。
長寿県を取り戻すことは望まない方が良いのかもしれない。それよりも、現状のストレス社会の要因が何なのか。そして、その緩和・解消のために何ができるのか。考えてみる必要があるようだ。