日本も初めて賛同、核兵器の非人道性と不使用を訴える共同声明
国連で議論されてきた「核兵器の非人道性と不使用を訴える共同声明」、今回も賛同を見送るとしていた日本が、一転賛同した。
共同声明はニュージーランドなど16カ国が主導してまとめ、日本を含む計125カ国が賛同。米英仏ロ中やインド、パキスタンなどの核保有国に加え、北朝鮮、イスラエル、イランなどは賛同しなかった。(10月22日付朝日新聞より抜粋)
同声明は、核兵器廃絶必要性を説く根拠として、「核兵器の壊滅的な結末についての意識」及び「核兵器の人道的結末」を挙げている。核兵器爆発が引き起こされれば「いかなる国家または国際組織も核兵器爆発によって引き起こされる人道的緊急事態を解決することも、犠牲者に対して十分な支援を行うことも不可能である・・・」のだと。
しかし、同時に「・・にもかかわらず、長年、核兵器の人道的結末は核軍縮と核不拡散の議論の核心となってきていない」と指摘し、日本や、米国等の核保有国が主張する核抑止論を批判する。
唯一の被爆国日本の取るべき途は核廃絶である、ことは誰の目にも明白だ。
核を保有する米国のオバマ大統領が核廃絶を訴えている。その核の傘の下にある日本は共同声明にも不参加の姿勢をしめしていた。極めて奇妙な構図である。
ところがここへきて、日本が賛同に回ったことは意義がある。今後はオバマ大統領とともに核廃絶に向けて取り組むべきだ。
「いかなる状況においても、核兵器が二度と使用されないことが人類の生存そのものにとって利益・・」であり、そして、「核兵器が決して使用されないことを保証する唯一の方法は核兵器廃絶である」ことを、日本政府は肝に銘じて、核軍縮・核廃絶にむけて取り組むべきである。
1 賛同国数116カ国、そして我が国ニュージーランド並びにオブザーバー国であるバチカン市国を代表し、発言する。 2 我々の国々は、核兵器のもたらす壊滅的な人道的結末について深く懸念している。・・・本年3月にノルウェー主催の下開催された「核兵器の人道的影響に関する会議」における事実に基づく議論によって、これらの結末に対する理解がより深まった。・・・鍵となるメッセージは、いかなる国家または国際組織も核兵器爆発によって引き起こされる人道的緊急事態を解決することも、犠牲者に対して十分な支援を行うことも不可能であるということであった。 3 ・・・、2014年2月13日から14日に予定されているフォローアップ会議についてのメキシコの発表を温かく歓迎する。同会議はこの問題、とりわけ核兵器爆発の長期的な影響についての理解をより広げ、深めることを目的としており、我々は、同会議に参加することが、すべての国にとっての利益であると確信する。我々は、市民社会が継続的に関与してきていることを歓迎する。 4 ・・・核兵器の壊滅的な結末についての意識が、核軍縮に向けたすべてのアプローチ及び努力を支えなければならないことを確信する。 5 もちろん、これは新しい考え方ではない。核兵器の壊滅的な結末についての意識、それが使用された最初の瞬間から、明白になった。そしてその瞬間から今日に至るまで、この恐怖から世界を救うための人類の願望を生み出してきており、それによって本共同ステートメントが発想された。核兵器の人道的結末は、1946年の国連総会で最初に採択された決議を含む多くの国連決議及び核不拡散条約(NPT)を含む多国間の文書に反映されてきている。世界の最も著名な核物理学者たちは、既に1955年の時点において、核兵器が人類の存続を脅かし、これらの兵器を使用する戦争は人類を終焉(しゅうえん)させる可能性があることを述べていた。1978年に開かれた第1回国連軍縮特別総会(SSOD―1)は「核兵器は人類及び文明の生存に対して最大の危険を引き起こす」ということを強調した。重大な懸念を示すこれらの表現は切実であり続けている。これにもかかわらず、長年、核兵器の人道的結末は核軍縮と核不拡散の議論の核心となってきていない。 6 それ故、我々は人道的な焦点が今やグローバルな課題として十分確立されていることに勇気づけられている。2010年のNPT運用検討会議は、「核兵器の使用による壊滅的な人道的結末に対する深い懸念」を表明した。この深い懸念は、2011年11月26日の国際赤十字・赤新月運動による決議及び多国間の核軍縮交渉を前進させる提案を行うためのオープンエンド作業部会を設立する昨年の国連総会による決定をもたらした。それは、2013年8月の核問題のあらゆる議論の中で核兵器の人道的結末を強調することを求めるラテンアメリカ・カリブ諸国共同体による国際社会への呼びかけの基礎となった。先月、核軍縮に関する国連総会ハイレベル会合において、世界中の多くの首脳たちは核軍縮の進捗(しんちょく)を求めるとともに、人道的結末に対する深い懸念を再度喚起した。今日、本共同ステートメントは、人道的焦点に対する政治的支持の高まりを示すものである。 7 いかなる状況においても、核兵器が二度と使用されないことが人類の生存そのものにとって利益である。核兵器爆発による壊滅的な影響は、それが偶然、誤断、故意のいずれによるものであれ、適切に対処されることはできない。これら大量破壊兵器の脅威を除去するため、あらゆる努力がなされなければならない。 8 核兵器が決して使用されないことを保証する唯一の方法は核兵器廃絶である。すべての国は、NPTの目的を実現し、その普遍性を達成することによる方法を含め、核兵器の使用を予防し、垂直及び水平的拡散を防止し、核軍縮を達成する共通の責任を有する。 9 我々は、ICRC及び国際的な人道機関とともに、核兵器の壊滅的な人道的結末に対処するための国際社会の新たな決意を歓迎する。この問題に関する関心を高めることによって、我々が責務を実現するにあたり、市民社会は政府と並んで果たすべき極めて重要な役割を担う。我々は、それを行うため、またその過程で核兵器によってもたらされる脅威を我々の世界から排除するため、ともに取り組む責務を未来の世代に負っている。 |