NHKスペシャル「返還合意から18年 いま"普天間"を問う」の欺瞞(1.24放送)
1月24日に放映されたNHKスペシャル「返還合意から18年 いま"普天間"を問う」の内容は驚きだ。
名護市長選挙では、辺野古埋立反対の稲嶺進市長が再選された。辺野古埋立阻止は沖縄の民意だ。しかし、番組では、反対している人たちが一部の人間かのように紹介している。
仲井真知事の埋立承認に抗議する、那覇市議会、県議会、北中城村議会、嘉手納町議会、八重瀬町議会、北谷町議会の決議については一切ふれない。さらに、昨年1月の建議書などは忘れてしまったらしい。
小野寺防相は、番組の中で、沖縄は日米安保の要だと。だから我慢しろという。沖縄に多大な基地負担が強いているのは事実。これを日本全国民が理解しろという。しかし、沖縄に過重な基地負担を強いているのは政治の責任だ、と吐露したのは小野寺防相の前任者の森本防相だ。自らの政治責任を国民に転嫁するのはいやらしい。
安倍政権は沖縄に寄り添うというメッセージを大放映するが、沖縄の誰がそれを信じるのか。名護市長選挙を金で買おうとしたのは誰か。まったく深まらない番組だ。
仲井真知事が懸命に努力したというメッセージ。果たしてそうか。車椅子に腰を下ろし、療養のため県議会欠席の許可まで得ていた年末。ところが、東京での入院中は官房長官と密会の日々。沖縄に戻った後の名護市長選では宣伝カーに登って応援演説。短期決戦の名護市長選に挑んだ仲井真知事。限られた時間移動では、持っていた杖を投げ出して小走りする始末だ。
こんな状況だからこそ、那覇市議会、県議会に続いて、嘉手納町議会・八重瀬町議会も仲井真知事の埋立承認に抗議する意見書を採択したのだ。
そんな沖縄の状況を無視するかのように小野寺防相をゲストに沖縄が基地反対運動がりふじんであるかのような番組作りをするとは、なんと情けないことか。
番組は、沖縄に対して本土がいかに差別的に見ているかをあらためて示す機会となった。多くの沖縄県民は怒り狂っているに違いない。週明けには、更に多くの市町村議会が仲井真知事糾弾の声をあげるに違いない。