オール沖縄は、全力で翁長知事を支えます!〜「承認取り消しが相当と判断した」 翁長沖縄知事の記者会見全文(10月13日付沖縄タイムスより)〜
10月13日、翁長健志知事は、前知事の辺野古埋立承認を取り消した。これにより、沖縄防衛局の辺野古埋立事業は、その法的裏付けを失い、違法事業となった。
辺野古埋立阻止運動はあらたな展開をむかえることになる。
同日の記者会見で、私が注目した翁長知事の発言は以下のとおりだ。
これだけの覚悟を持ち、沖縄の未来を語ることのできる翁長氏が知事になったことは沖縄の仕合せである。 オール沖縄は、全力で翁長知事を支えます!!!!!
「・・承認取り消しが相当であると判断し、本日付けで、沖縄防衛局長に対し、公有水面埋立承認取消通知書を発出したところであります。 今後も、辺野古に新基地は造らせないという公約の実現に向け、全力で取り組む考えであります。」
「(これまでの国との協議について)・・思い返してもなかなか沖縄の考え方、思い、今日までのいろんなこと、ご理解をいただけるようなものがなかったような感じがします。 これから、裁判を意識してのことが始まっていくが、いろんな場面、場面で私どもの考え方を申し上げて、多くの国民や県民、ご理解をいただけるような、そういう努力をきょうから改めて出発していくという気持ちです 」
「(仲井真前知事の埋立承認について)・・県外移設を公約をして当選をされました知事が埋め立て承認をしてしまいました。それについて、私自身からするとそのこと自体が、容認できなかったわけです。・・」
「集中協議の頃から、ある意味で溝が埋まるようなものが全くないという状況でした。」
(今後予想される裁判等の意義について)
「今回、承認の取り消しに至るわけでありますが、・・沖縄県の歴史的な流れ、・・戦後の70年のあり方、そして現在の0・6%に74%という沖縄の過重な基地負担・・、こういったことが・・多くの県民や国民の前で議論・されるところに一つは意義があると思います。」
「・・地方自治体がこのようなところまで国にある意味では追い詰められると。私たちからすると日米両政府というのは大変大きな権力をもっておりますし、法律的な意味合いから言っても大変ある意味で大きな権力を相手にしているなというような感じをしています。」
「・・基地問題はある意味では沖縄が中心的な課題を背負っている・・、これから日本の国の全体として地方自治のあり方が本当に一県、あるいはある地域に対してこういったこと等が起きた時の日本の将来のあり方・・について、・・多くの国民に見ていただけるのではないかと思っております。」
「・・一義的に沖縄の基地問題、歴史等と含めてのことでありますが、日本の民主主義というそういったものに対して国民全体が考えていただけるような、そういうものになればいいのかなと思っております。」
(沖縄防衛局の国交大臣への不服申立について)
「・・質問なので、お答えしたいと思いますが、私人として国がそういう訴えをするということは、私たちからすると非常に無情ですね。それはできないだろうという風には思っています。それから、国が同じ国の中でそういったものに判断を下すというのも、今いう国と地方自治という意味からしても、いろんな意味合いからしても、多くの方々が疑問に思うことではないかなという風に思ってます・・」
(世論調査等でも国民意識が変化しているが、本土に何を求めるか)
「・・この数十年といってもいいですが、0・6%の面積に74%という過重な負担を沖縄は負わされて参りました。なおかつ、戦後の二十数年、ある意味で日本国から切り離されて、日本人でもなくアメリカ人でもなく法的なもの、ある意味で守られるものも何もないような過ごした時期もありました。そういった中で何を沖縄は果たしてきたかといいますと、よく私がやっているのは自負もあるし無念さもあるというのは、日本の戦後の平和、あるいは高度経済成長、そういったこと等を、安全保障とともに沖縄が保障をしてきたというような部分は大変だというふうに思っております。
その中で沖縄県民の人権や自由や平等、そういったものが、民主主義という意味でも大変この、認められるようなことがなかった・・ことがあります。
これはひとえに、沖縄一県に抑止力を含め基地の問題が閉じ込められて、本土の方々にご理解をいただけなかった・・、私は昨年の選挙では日本国民全体で日本の安全保障は考えてもらいたいということを強く訴えました。
そして一県だけに安全保障を押しつける・・こと・・が、日本の安全保障にとっては大変心もとない、・・日本全体で安全保障を考えるという気概がなければ、・・他の国からも理解されない・・、尊敬されないだろうという話もしてきたわけです。
そういう最中、大変国民の理解も得にくいところであったんですが、この一年間、今日報道のみなさまおいでですので、多くの方々がいろんな角度からこの問題を県民や国民に掲示をしていただきましたところ、世論調査のほとんどで、まずは辺野古には基地を造ってはいけないというような本土の方々の理解が進んで参りました。
パーセンテージはまちまちでありますけど、ほぼ10%近くそういった方々が増えたというのは、この1年間で私どもが主張してきたことがご理解いただくような入り口に入ってきたなと・・いうことでは、大変心強い感じがしています。
・・これからも、・・きょうの記者会見もそうですが、いろんな場所でお知らせをして、・・ともに、沖縄問題もさることながら、地方自治(の)・・あり方・・、・・日本の国の民主主義、あるいは中央集権みたいな格好に最近なってきてまいりましたので、こういったこと等の危険性、日常から非日常に紙一重で変わる一瞬のこの、変わらないことで止めきれるかどうか、変わってしまってから・・は私は過去の歴史からいうと大変厳しいものになろうかと思いますので、そういうことも含めてみんなで議論していけるような、そういったものにこの沖縄の基地問題が提示できればありがたいと思っています。」
「・・普天間飛行場の原点は戦後、県民が収容所に入れられている間に強制接収されたものであります。それ以外の基地もすべて強制接収されたわけで、沖縄県民自ら差し出した基地は一つもありません・・。 ・・普天間の危険性除去をする時に、辺野古に移すということは、自分で土地を奪っておきながら、代わりのものを沖縄に差し出せというような理不尽な話が通るかというのが一つ大きなものがあります。もう一つは辺野古という、大浦湾という美しいサンゴ礁の海、ジュゴン、ウミガメがいるようなところをこうも簡単に埋めていいのかということも含めて国民の皆さん方にご理解いただきたいなと思っています。」
「・・よく私たちは日本政府と対立していると言われるんですが、意見を言うことそのものが対立と見られるところに、日本の民主主義の貧弱さがあると思いますね。他の都道府県で国に物を申した時には、対立とか独立とか言われないのに沖縄ではそれも言われる。 そういうことからすると、私が去年の選挙でオール沖縄、イデオロギーよりもアイデンティティ・・より多くの人が100%自分の考え方を主張する・・よりも、一定の水準・・一つの目的・・、そういうもので心を一つにしてやっていこうという・・ものが今日の翁長県政のベースになっている・・、・・政府のやることに対して、私も色んな思いはございます。思いますが、就任された中から改めて沖縄の将来を目指して、一つ一つ頑張っていくということで多くの県民、国民にも理解を得ていきたいと思っています。」
(法廷闘争になると思われるが)
「・・政府を相手にするわけですからそう簡単でない・・。・・工事を再開して埋め立てを場合によってはどういう状況で進めるかどうか分かりませんが、そういうことがあったとしても新辺野古基地は造れないだろうと私は思っています。
今回、国連でも訴えをさせていただきましたけども、世界のメディアも注目していただくような状況になっている・・。国内で10ポイント程度、基地を造っちゃいかんという考え方に変わってきた・・、これからはあそこの現場は本当に戦争を体験したといいますか、それに近い世代があんな遠いところに不自由なところに毎日、1年以上も通っているわけですから、そういったところで理不尽な工事をすることの難しさは大変だと思います。
それから沖縄県と名護市も決意を持ってこのことについて当たっていますので、そういった諸々を考えましたら、もし10年間、あれは10年間でできると言ってますけれども、10年間できるまで普天間をそのままにしておくこと自体が固定化ではあるんですよね。とんでもない話なんです。
・・順調に造った場合には普天間の危険性は除去しているというような話でありますが、そうではなくて普通にいっても10年間は固定化するという話。これを防ぐという意味では、5年間の運用停止を前知事に約束をして5年間で空を飛ぶものがないようなものの状態にするということが普天間の危険性の除去ということだと思いますので、それすらもアメリカ政府から反対されて、なおかついま一歩も動かないということからしますと、この多くの国民や県民の皆さんにご理解頂きたいのは、10年間そのままにするというのは固定化でないのかどうかですね、これもよく考えて頂きたい。
万が一、15年に延びたら15年間固定化であります。・・」
「それができるようなことがあれば、200年間沖縄に国有地として、私たちの手の及ばないところで縦横無尽に161ヘクタールを中心としたキャンプ・シュワブの基地が永久的に沖縄に国の権限として出てくるようなところがあるわけですから、普天間の固定化を避けるというのも重要な意味がありますけれども、もう一つ向こうに200年に渡って県民の意思とは関係なくそこに大きな基地が出来上がってきて、自由自在に使われるようになる。 いま中国の脅威が取りざたされていますけれども、200年間、そういった脅威は取り除かれないという認識でやっているのかどうか、今日までの70年の基地の在り方についてどのように反省しているのかですね。」
「日本国民全体で考えることのできなかったことについて、どのように考えているのか。私は、中谷防衛大臣と話をした時に、こういうことでお詫びの言葉もありました。「今はまだ整ってないから、沖縄が受けるしかないんですよ、よろしくお願いします」という話もされていたが、私はこう申し上げた。おそらく20、30年後の防衛大臣も同じような話しをしていると思いますよ、とそのように話をさせていただいたんです。ですから、こういったことを踏まえると沖縄の置かれているものがよくご理解いただけるのではないかなと、そう思っています。」
(知事が移設を阻止するための手段を講じると、必ずと東京では移設が進まなくなる、固定化だ、翁長知事に責任がある、と喧伝される。責任論や責任の所在についてどう考えるか。)
「私はまさしくそれが日本の政治の堕落だと言っているんですよね。私に外交権があるわけじゃあるまいしね、沖縄県知事は当選したら内政といいますか、教育や福祉や環境は捨てておいて年中上京して、他の市町村や知事に、頼むから受けてちょうだいよ、沖縄は大変なんだよと言って歩くのが沖縄県知事の責務になるのかどうかですね。
こういったことを踏まえて考えますと、日本政府からこういう話をするのは、まさしく日本の政治の堕落である上になおかつ自分の意思で日本の政治を動かしているかどうかことさえ日本政府には試される。日米地位協定、日米安保も含めて、基地の提供について日本政府が自主的に物事を判断しながらアジアのリーダーになろうとしているのか、世界のリーダーになろうとしているのか。
あるいは日米安保というものが、自由と平等と人権と民主主義というものを共通してもっている国々が連帯するような、そういったものを作り上げようとしているわけですから、自国の県民にさえそういったことさえできないような政府が、私は日米安保、もっと品格のあるものにしてもらいたいと思っているので、大変残念なことであります。」
「私も日本国民の一人として、・・品格のある民主主義国家として成熟した日本になって初めて、アジア、世界に日本が飛び出て行ける、沖縄の役割も日本とアジアの架け橋としてアジアの中心にある沖縄の特性を生かして、平和の緩衝地帯というようなことも数十年後には考えながら沖縄の未来を語りたいにも関わらず、ただの領土として、基地の要塞としてしか見ないようなものの中でアジアの展開があるのかどうか、日本の展開があるのかどうかということは今のような沖縄がこれを邪魔するからできないんだというような姑息な、あれだけの権力を持って姑息な言葉を流すというのは、やはり日本の政治の堕落だと言わざるを得ないと思っています。」
(来年の宜野湾市長選、参院選、県議選への辺野古埋立取消しが与える影響について)
「・・これから節目節目でいろんなことが起きると思いますので、事の本質が県民にもご理解頂けると思いますし国民の皆さんあるいは世界の方々にご理解頂けると思いますので、私は一つ一つの選挙の節目節目で、そういったようなものがチェックされていくのではないかと思っています。」
「承認取り消しが相当と判断した」 翁長沖縄知事の記者会見全文(10月13日沖縄タイムスより) 沖縄県の翁長雄志知事は13日、前県政が出した名護市辺野古の埋め立て承認を取り消した。翁長知事は「今後も辺野古に新基地は造らせないという公約実現に向け、全力で取り組む」と述べた。記者会見でのやり取りは次の通り。 記者 先月14日に取り消しの方針を表明してから約1カ月。きょう正式に承認を取り消して率直な感想を。 記者 承認の取り消しにいたった理由は。 知事 県外移設を公約をして当選をされました知事が埋め立て承認をしてしまいました。それについて、私自身からするとそのこと自体が、容認できなかったわけです。法律的な瑕疵があるのではないか。それを客観的、中立的に判断をしていただいて、どのように判断をしていただけるか、ということで、第三者委員会で、環境面から3人、法律的な側面から3人の6人の委員の皆様方に、今年の1月26日ですか、お願いをしました。 記者 知事が取り消したことによって、政府が対抗措置を取ると思うが、県として、どういう対応で臨むか。 知事 法的な対応措置というのは、いくつか考えられるわけでありまして、その意味でいうと、それぞれ一つ一つ想定をしながら、説明をすることは今この場所ではふさわしくないと思います。 記者 先月、取り消しを表明して、意見聴取や聴聞など沖縄防衛局に対する手続きをとってきたが、防衛局が意見聴取にも聴聞にも応じず陳述書を出すという対応だった。防衛局の対応についてどう思うか。 知事 集中協議の頃から、ある意味で溝が埋まるようなものが全くないという状況でした。その1カ月間の集中協議の中でも私どもの方がいろんな思いを話をさせていただいたわけですが、議論がちょっとかみ合ったのは防衛大臣との抑止力の問題だけで、それ以外は閣僚側から意見や反論はありませんでした。 記者 承認取り消しという行為自体が、どのような歴史的な意義があるか。防衛局の方では私人と同じ立場での不服審査が有力といわれているが、政府のこの問題に対する向き合い方についてどう考えるか。 知事 今回、承認の取り消しに至るわけでありますが、これはあ沖縄県の歴史的な流れ、あるいは戦後の70年のあり方、そして現在の0・6%に74%という沖縄の過重な基地負担ですね、過重な基地負担、こういったことがですね、まずしっかりと多くの県民や国民の前で議論がされるところに一つは意義があると思います。 記者 今回の知事の重い決断の背景に日米安保と負担のあり方について、知事の強い思いがあると思う。知事の10カ月の様々な行動の中で本土でも辺野古の埋立に関する世論調査、だいぶ数字に変化が現れている。きょうの重要なタイミングで、特に本土の多くの国民に日米安保と負担のあり方について、どう行動してほしいか。 知事 さきほど来、あるいはこの1年といってもいいですし、この数十年といってもいいですが、0・6%の面積に74%という過重な負担を沖縄は負わされて参りました。 記者 辺野古の埋め立てを認めないということは、普天間を日本国全体でどうしてほしいという思いか。 知事 普天間をどうするかということであります。私は菅官房長官ともそうでありますが、一つには普天間飛行場の原点は戦後、県民が収容所に入れられている間に強制接収されたものであります。それ以外の基地もすべて強制接収されたわけで、沖縄県民自ら差し出した基地は一つもありませんよという話をさせていただいています。 記者 県民に寄り添うことを狙って沖縄担当相に島尻安伊子参院議員を就任させた。島尻大臣は最初の記者会見で「辺野古が唯一の選択肢で何としても進めなければならない」と述べた。これについてどう思うか。 知事 沖縄問題は大変、言葉遣いに気をつかうところでありまして、一昨年の前知事の承認についても口を枯らして話をするようなものも大変、はばかられるものがございます。島尻安伊子参院議員が今回、沖縄担当大臣になりましたけども、県民にとってもいろんな思いがあろうかと思います。 記者 法廷闘争になるが、結論が出るまでに長い時間がかかる間に工事が進み既成事実化も進む。あらゆる手段を使って造らせないという思いと、法廷闘争の限界をどう考えているか。 知事 法廷闘争についても、政府を相手にするわけですからそう簡単でないということだけはよく分かります。そしてある意味で、工事を再開して埋め立てを場合によってはどういう状況で進めるかどうか分かりませんが、そういうことがあったとしても新辺野古基地は造れないだろうと私は思っています。 記者 知事が移設を阻止するための手段を講じると、必ずと東京では移設が進まなくなる、固定化だ、翁長知事に責任がある、と喧伝される。責任論や責任の所在についてどう考えるか。 知事 私はまさしくそれが日本の政治の堕落だと言っているんですよね。私に外交権があるわけじゃあるまいしね、沖縄県知事は当選したら内政といいますか、教育や福祉や環境は捨てておいて年中上京して、他の市町村や知事に、頼むから受けてちょうだいよ、沖縄は大変なんだよと言って歩くのが沖縄県知事の責務になるのかどうかですね。 記者 来年は宜野湾市長選、参院選、県議選と普天間問題が争点になりそうな選挙が続く。取り消しが与える影響の考えを伺いたい。 知事 今回の取り消しというよりは、これから節目節目でいろんなことが起きると思いますので、事の本質が県民にもご理解頂けると思いますし国民の皆さんあるいは世界の方々にご理解頂けると思いますので、私は一つ一つの選挙の節目節目で、そういったようなものがチェックされていくのではないかと思っています。 |