嘉手納基地の爆音被害は、新環境基準(Lden)を超過している。正に人権侵害だ!
平成22年7月。普天間爆音訴訟控訴審判決で、裁判所は国の爆音対策について、「国は近接する嘉手納基地で騒音被害が違法な水準に達しているとの司法判断が3度も示されているのに、抜本的な対策を講じていない上、自ら定めた環境基準も達成していない」と厳しく指摘した。この判決は、爆音被害を放置しつづける国の無作為を糾弾する画期的判決となった。
現状はどうか。
国は、これまでのW値に代えてLdenという新しい指標を採用した。このLdenについては、音の指数にはなるものの爆音から発生する健康被害を表す指標にはならないとの指摘され、これでは周辺住民の健康影響を測ることはできないとの批判がある。
これを、嘉手納町が測定した平成25年度騒音発生回数で見ると、上記の住宅地域環境基準(第Ⅰ類型)を達成した月はなく、基準値を大きく上回り、住宅地域外基準値(第Ⅱ累計)さえも達成していない。
福岡高裁那覇支部が指摘した国による爆音被害放置の状況が、現在もなお、連綿と続いている状況が明らかになった。
この状況を打破するために、沖縄は声を挙げ続けるし、司法も、人権救済というその役割を果たさねければならないことに気付くべきだ。
国(環境省)が定めた環境基準値は以下のとおり(環境省・航空機騒音環境基基準(Lden)クリックで同省HMへ)
地域類型 | 環境基準値(Lden) |
第Ⅰ類型(専ら住居の用に供される地域) | 57デシベル以下 |
第Ⅱ類家(Ⅰ以外の地域) | 62デシベル以下 |
嘉手納基地における月平均のLden値を抜粋すると以下のとおり(嘉手納町と基地 平成26年度ダイジェスト版より)(クリックで拡大)
25.4月 | 5月 | 6月 | 7月 | 8月 | 9月 | 10月 | 11月 | 12月 | 26.1月 | 2月 | 3月 | 合計 | |
月平均Lden | 70.0 | 70.2 | 72.1 | 72.0 | 71.3 | 70.0 | 67.6 | 70.2 | 69.1 | 69.7 | 67.9 | 69.9 | 70.3 |