代執行訴訟第1回口頭弁論 翁長知事陳述全文(12月2日付朝日新聞HMより転載)

2015-12-06

 12月2日の代執行訴訟第1回口頭弁論。翁長知事は意見陳述を行った。裁判所に提出された陳述書及び法廷での陳述の内容は、翁長知事が、知事選挙以前からこれまで述べてきた内容の集大成となっている。正にオール沖縄を体現するものだ。以下は陳述におけるキーワードを拾ってみたが、翁長知事の決意を窺い知ることができる。オール沖縄は翁長知事を支え続ける。

【キーワード】

 オール沖縄、 イデオロギーよりアイデンティティー、 魂の飢餓感、 銃剣とブルドーザー、

 日本国民でもアメリカ国民でもない無国籍人、治外法権、 「主権回復の日」式典、沖縄の自己決定権、

 海上での「銃剣とブルドーザー」、沖縄の自治は神話、日本の真の独立は神話、普天間の固定化、

 普天間基地の5年以内の運用停止、

 経済の面では、米軍基地の存在は今や沖縄経済発展の最大の阻害要因、

 沖縄は基地経済で成り立っているという話は完全な誤解、

 地方交付税と国庫支出金等の県民一人あたりの額で比較しますと、沖縄県は全国で6位、地方交付税だけでみると17位、

 沖縄が日本に甘えているのでしょうか。日本が沖縄に甘えているのでしょうか。ここを無視してこれからの沖縄問題の解決、あるいは日本を取り戻すことなど、できないと確信

 この裁判で問われているのは、単に公有水面埋立法に基づく承認取り消しの是非だけではありません。戦後70年を経たにもかかわらず、国土面積のわずか0.6%しかない沖縄県に、73.8%もの米軍専用施設を集中させ続け、今また22世紀まで利用可能な基地建設が強行されようとしております。 日本には、本当に地方自治や民主主義は存在するのでしょうか。沖縄県にのみ負担を強いる今の日米安保体制は正常といえるのでしょうか。国民のみなさますべてに問いかけたいと思います。

 沖縄、そして日本の未来を切りひらく判断をお願い致します。 

(12月2日付朝日新聞より転載 翁長雄志知事による意見陳述の全文は次の通り。) 

 沖縄県知事の翁長雄志でございます。本日は、本法廷において意見陳述をする機会を与えていただきましたことに、心から感謝申し上げます。
 私は、昨年の県知事選挙で「オール沖縄」「イデオロギーよりアイデンティティー」をスローガンに、保守・革新の対立を乗り越えて当選をいたしました。
 本件訴訟の口頭弁論にあたり、私の意見を申し上げます。
 歴史的にも現在においても沖縄県民は自由、平等、人権、自己決定権をないがしろにされて参りました。私はこのことを「魂の飢餓感」と表現をしております。政府との間には多くの課題がありますが、「魂の飢餓感」への理解がなければ、それぞれの課題の解決は大変困難であります。
 簡単に沖縄の歴史をお話ししますと、沖縄は約500年に及ぶ琉球王国の時代がありました。日本と中国、朝鮮、東南アジアを駆け巡って大交易時代を謳歌(おうか)しました。
 琉球は1879年、今から136年前に日本に併合されました。これは琉球が強く抵抗したため、日本政府は琉球処分という名目で軍隊を伴って行われたのであります。
 併合後に待ち受けていたのが70年前の第2次世界大戦、国内唯一の軍隊と民間人が混在しての凄惨(せいさん)な地上戦が行われました。沖縄県民約10万人を含む約20万の人びとが犠牲となりました。
 戦後は、ほとんどの県民が収容所に収容され、その間に強制的に土地を収用され、収容所からふるさとに帰ってみると普天間飛行場をはじめ米軍基地に変わっておりました。その後も、住宅や人が住んでいても「銃剣とブルドーザー」で土地を強制的に接収をされたわけです。
 1952年、サンフランシスコ講和条約による日本の独立と引き換えに、沖縄は米軍の施政権下に置かれ、日本国民でもアメリカ国民でもない無国籍人となり、当然日本国憲法の適用もなく、県民を代表する国会議員を一人も国会に送ったことはありません。犯罪を犯した米兵がそのまま帰国することすらあった治外法権ともいえる時代でありました。
 ベトナム戦争の時は沖縄からB52爆撃機の出撃をはじめいろいろな作戦が展開をされております。沖縄は日米安保体制と、日本の平和と高度経済成長を陰で支えてきた訳であります。
 しかし、政府は一昨年、サンフランシスコ講和条約が発効した4月28日を「主権回復の日」として式典を開催し、そこで万歳三唱まで行われたのです。沖縄にとっては悲しい、やるせない式典でございました。全く別々の人生を歩んできたような感じがいたします。
 1956年、米軍の施政権下で沖縄の政治史に残ることが起きました。
 プライス勧告といって、銃剣とブルドーザーで強制接収した土地を、実質的な買い上げをするという勧告が出されました。当時、沖縄は大変貧しかったのでのどから手が出るほどお金が欲しかったはずですが、県民は心を一つにしてそれを撤回をさせました。
 これによって、基地のあり方に、沖縄の自己決定権を主張できる素地がつくられ、私たちに受け継がれているのです。
 沖縄が米軍に自ら土地を提供したことは一度もありません。そして戦後70年、あろうことか、今度は日本政府によって、海上での「銃剣とブルドーザー」をほうふつさせる行為で美しい海を埋め立て、私たちの自己決定権の及ばない国有地となり、そして、普天間基地にはない軍港機能や弾薬庫が加わり、機能強化をされ、耐用年数200年ともいわれる基地が造られようとしております。
 今沖縄には日本国憲法が適用され、昨年のすべての選挙で辺野古新基地反対の民意が出たにもかかわらず、政府は建設を強行しようとしております。米軍基地に関してだけは、米軍施政権下と何ら変わりはありません。
 米軍施政権下、キャラウェイ高等弁務官は沖縄の自治は神話であると言いましたが、今の状況は、国内外から日本の真の独立は神話であると思われているのではないでしょうか。
 辺野古新基地は、完成するまで順調にいっても約10年、場合によっては15年、20年かかります。その期間、普天間基地が動かず、危険性が放置される状況は「固定化」そのものではないでしょうか。
 本当に宜野湾市民のことを考えているのであれば、前知事の埋め立て承認に際して、首相と官房長官の最大の約束であった「普天間基地の5年以内の運用停止」を承認後着実に前に進めるべきではなかったでしょうか。しかし、米国からは当初からそんな約束はない、話も聞いたことはないと言われ、前知事との約束は、埋め立て承認をするための空手形ではなかったのか、それを双方承知の上で埋め立て承認がなされたのではないか、いろいろな疑問が湧いてまいります。
 日本政府に改めて問いたいと思います。普天間飛行場は世界一危険だと、政府は同じ言葉を繰り返しておりますが、辺野古新基地ができない場合、本当に普天間基地は固定化できるのでしょうか。
 次に基地経済と沖縄振興策について述べたいと思います。
 一般の国民もそうですが、多くの政治家も、「沖縄は基地で食べているんでしょう。だから基地を預かって振興策をもらったらいいですよ」と沖縄に投げかけます。この言葉は、「沖縄に過重な基地負担を強いていることへの免罪符」と「沖縄は振興策をもらっておきながら基地に反対する、沖縄は甘えるな」と言わんばかりであります。これくらい真実と違い沖縄県民を傷つける言葉はありません。
 米軍基地関連収入は、終戦直後にGDPの約50%、基地で働くしか仕方がない時代でした。日本復帰時には約15%、最近は約5%で推移をしております。
 経済の面では、米軍基地の存在は今や沖縄経済発展の最大の阻害要因になっています。
 例えば、那覇市の新都心地区、米軍の住宅地跡で215ヘクタールありますが、25年前に返還され、当時は軍用地料等の経済効果が52億円ありました。私が那覇市長になって15年前から区画整理を始め、現在の街ができました。経済効果としては52億円から1634億円、32倍。雇用は170名程度でしたが、今は1万6千名、約100倍です。税収は6億から199億円と33倍に増えております。
 沖縄は基地経済で成り立っているというような話は今や過去のものとなり完全な誤解であります。
 沖縄は他県に比べて莫大(ばくだい)な予算を政府からもらっている、だから基地は我慢しろという話もよく言われます。年末にマスコミ報道で沖縄の振興予算3千億円とか言われるため、多くの国民は47都道府県が一様に国から予算をもらったところに沖縄だけさらに3千億円上乗せをしてもらっていると勘違いをしてしまっているわけです。
 沖縄はサンフランシスコ講和条約で日本から切り離され、27年間、各省庁と予算折衝を行うこともありませんでした。ですから日本復帰に際して沖縄開発庁が創設され、その後内閣府に引き継がれ、沖縄県と各省庁の間に立って調整を行い沖縄振興に必要な予算を確保するという、予算の一括計上方式が導入されたのです。沖縄県分は年末にその総額が発表されるのに対し、他の都道府県は、独自で予算折衝の末、数千億円という予算を確保していますが、各省庁ごとの計上のため、沖縄のように発表されることがないのです。
 実際に、補助金等の配分額でみると沖縄県が突出しているわけではありません。例えば、地方交付税と国庫支出金等の県民一人あたりの額で比較しますと、沖縄県は全国で6位、地方交付税だけでみると17位であります。
 都道府県で、国に甘えているとか甘えていないとかといわれるような場所があるでしょうか。残念ながら私は改めて問うていきたいと思います。沖縄が日本に甘えているのでしょうか。日本が沖縄に甘えているのでしょうか。ここを無視してこれからの沖縄問題の解決、あるいは日本を取り戻すことなど、できないと確信をいたします。
 沖縄の将来あるべき姿は、万国津梁(しんりょう)の精神を発揮し、日本とアジアのかけ橋となること、ゆくゆくはアジア太平洋地域の平和の緩衝地帯となること。そのことこそ、私の願いであります。
 この裁判で問われているのは、単に公有水面埋立法に基づく承認取り消しの是非だけではありません。
 戦後70年を経たにもかかわらず、国土面積のわずか0.6%しかない沖縄県に、73.8%もの米軍専用施設を集中させ続け、今また22世紀まで利用可能な基地建設が強行されようとしております。
 日本には、本当に地方自治や民主主義は存在するのでしょうか。沖縄県にのみ負担を強いる今の日米安保体制は正常といえるのでしょうか。国民のみなさますべてに問いかけたいと思います。
 沖縄、そして日本の未来を切りひらく判断をお願い致します。

代執行訴訟第1回口頭弁論 翁長知事陳述

陳述書 項目

1 知事に立候補した経緯と公約

2 沖縄について

 (1)沖縄の歴史

 (2)沖縄の将来像

3 米軍基地について

 (1)基地の成り立ちと基地問題の原点

 (2)普天間飛行場返還問題の原点

 (3)「沖縄は基地で食べている」基地経済への誤解

 (4)「沖縄は莫大(ばくだい)な予算をもらっている」沖縄振興予算への誤解

 (5)基地問題に対する政府の対応

 (6)県民世論

4 日米安全保障条約

5 前知事の突然の埋立承認

6 前知事の埋立承認に対する疑問ー取消しの経緯

 (1)仲井眞前知事の埋立承認についての疑問

 (2)第三者委員会の設置と国との協議

 (3)承認取消しへ

 (4)政府の対応

7 主張

 (1)政府に対して

 (2)国民、県民、世界の人々に対して

 (3)アメリカに対して

お問合せ・ご相談はこちら

お電話でのお問合せ・ご相談はこちら
090-8666-1195

沖縄県の中部嘉手納町で行政書士事務所を開設しています。日常生活の中で悩みはなかなか尽きないもの。しかし、どんな問題にも解決の糸口があるはずです。離婚、相続、遺産分割、遺言書の作成、建設業許可に関わる問題等々・・・。あなたのお悩みに最適な解決方法を提案します。
当サイトでは、まず、悩み解決に向けての情報提供ができればと考えています。問題の所在が分かれば、解決に向けての情報収集が必要です。その一助になればと考えています。参考にしていただければ幸いです。

お気軽にお問合せください

お電話でのお問合せ

090-8666-1195

プロフィール

HM用縮小 DSC_1188.jpg

こんにちは、行政書士の福地義広です。あなたのお悩みに最適な解決方法を提案します。
登録番号  第08471847号
1960年(昭和35年)11月21日生まれ
家族:両親、妻、息子3人
プロフィールの詳細は代表者あいさつに掲載しました。よろしくお願いします。  

福地行政書士事務所

住所

〒904-0203
沖縄県中頭郡嘉手納町字嘉手納122-1

新着記事一覧

ページ一覧

フクチ義広後援会(29)
新型コロナウイルス感染関係(21)
PFOS等汚染問題(25)
沖縄差別の実態(25)
米軍の違反パラシュート降下訓練(16)
2.24県民投票(36)
沖縄の民意圧殺を許すな!!!~行動、選挙支援等~(19)
辺野古埋立承認撤回(2018.8.31)(20)
新ページ追加(12)
朝鮮半島平和構築(7)
名護市長選挙(2018年2月4日)(9)
2018.9.30沖縄県知事選挙、10.14豊見城市長選挙、10.21那覇市長選挙(20)
緑ヶ丘保育園・普天間第2小学校(宜野湾市在)への米軍ヘリ落下物事故(31)
うるま市伊計島、読谷村儀間、渡名喜島での米軍ヘリ不時着事故。さらに伊計島でのオスプレイのエンジンカバー落下事故。(8)
米軍ヘリ落下物事故、墜落、不時着等を受けての政府の対応(18)
お勧め記事(111)
新着案内(158)
トップページ(25)
書籍・新聞等からの資料(23)
代表者あいさつとプロフィール(2)
業務案内(20)
顧問契約(相談業務)(1)
離婚関係(1)
相続関係(1)
事業関係(8)
遺言書(18)
問題解決プログラム(1)
契約書等のひな型(7)
離婚(5)
遺産相続(4)
借金(2)
情報提供(7)
裁判員制度(6)
判例・裁判関連報道等(35)
成年後見制度(2)
お客様の声、質問(50)
代執行訴訟、違法確認訴訟等これまでの経緯(翁長知事 辺野古新基地建設阻止)(257)
集団的自衛権行使は憲法違反。安保関連法案を廃案にせよ。(17)
辺野古新基地建設阻止、高江ヘリパッド建設阻止行動(キャンプシュワーブ・高江等)(57)
名護市辺野古海域の埋立は人類に対する犯罪だ。美しい辺野古の海を守りましょう!!!(11)
普天間飛行場の辺野古移設阻止(127)
許すなオスプレイ配備(183)
許すなオスプレイ配備2(50)
沖縄の米軍基地(23)
夜間爆音被害の実態 嘉手納・普天間両米軍基地(26)
第4次、第3次嘉手納基地爆音差止訴訟等訴訟、爆音関連(281)
嘉手納米軍基地の爆音(115)
嘉手納町役場から入手した爆音データより(17)
米軍機(オスプレイ等)事故(56)
普天間基地の爆音の最新情報(16)

電子書籍

しあわせ講話集
☆▼☆
早川一光講話集 CD全12巻

△☆▼☆寂聴さんのおもしろ法話。聴いて、笑って、元気になる! 「瀬戸内寂聴・京都法話集 CD全12巻
☆▼☆△渡辺先生の愛と幸せに満ちたお話 「渡辺和子講話集 CD全12巻
☆▼☆いのちの輝きが教えてくれる豊かな明日への道しるべ 「いのちを見つめて CD全12巻
☆▼☆京都の名物医師・早川先生の元気いっぱい講話集 「早川一光講話集 CD全12巻
☆▼☆実り豊かな毎日へとあなたを導く名講話集 「現代に生きる CD全12巻
☆▼☆日本文化を大切に…高田好胤師の説得力ある法話集 「高田好胤法話集 CD全12巻☆▼☆▲松原先生百歳記念講話集!心豊かな人生を送る秘訣 「松原泰道講話集 CD全14巻▼☆▼☆カマタ流!しあわせに生きる秘訣 「鎌田實講話集 CD全12巻
▲☆▼☆各宗派15人の名僧との対談をたっぷり収録。仏教の面白さがよくわかる 「ひろさちやの仏教探訪 CD全16巻☆▼☆▼”おもしろ法話”がDVD 「瀬戸内寂聴・天台寺法話集 DVD全10巻
▲☆▼☆在宅ホスピス医・内藤いづみ先生が語る、「しあわせに生きる方法」とは 「内藤いづみ講話集 CD全12巻☆▼☆▼“医療の本質はやさしさ”を実践したナースが語る 「石垣靖子講話集 CD全12巻☆▼☆▲釈尊の教えであなたの今日がイキイキと輝きます 「釈尊に学ぶ生き方 CD全12巻▼☆▼☆相田みつをの、書とはまた一味違う貴重な講演集 「相田みつを講演集 CD全10巻☆▼☆▲元気が出る!人生がラクになる!珠玉のことば134 「相田みつを作品集 全2巻☆▼☆▼こころ豊かに人生を生きるには? やすらぎの12話。 「酒井大岳講話集 CD全12巻
▲☆▼☆日本を代表する尼僧が語る、仏教の真髄 「青山俊董講話集 CD全12巻
▼☆▼☆季節の行事には人生のヒントがいっぱい! 「ひろさちやの日本人の神さま仏さま CD全12巻☆▼☆▲