埋立工事中止、埋立承認取消しの是非が司法の場へ、そして再協議へ〜代執行訴訟和解条項全文(3月5日付琉球新報より)〜
昨日、3月4日午前、福岡高等裁判所那覇支部で、代執行訴訟の和解が成立した。
和解による成果は次のとおりだ。
1.埋立工事が直ちに中止すること
2.県と国の争いが振り出しに戻り、翁長知事の埋立承認取消しの是非が、国地方係争委員会および裁判所で明らかにされること
これまで国は翁長知事の埋立承認取消しについて、一方的に無効だと主張するのみで、その理由等を明確にしなかった。本和解により、翁長知事の埋立承認取消しの是非が、第1段階として国地方係争委員会で、最終的には司法の場で明らかにされることになる。翁長知事としては、正に望むところだ、ということだろう。
3.県と国が再協議するということ
昨年8月の協議は、協議末の菅官房長官の「埋立てを開始する」との一言で決裂となった。今回も協議が調(ととの)う可能性は低い。
ただ、当時に比して米政府の立ち位置が微妙に変化している。軍司令官による、度重なる辺野古新基地建設の困難性についての発言はそのことを物語る。報道によれば、海兵隊内部からも辺野古新基地建設についての疑問が出てきているという。それに加えて、高裁那覇支部の和解勧告文に示された「本来あるべき姿・・は、沖縄を含めオールジャパンで最善の解決策を合意して、米側に協力を求めるべきである」の指摘に鑑みれば、昨年8月のような高飛車な国の姿勢は許されないはずである。
以下は3月5日付琉球新報に掲載された和解条項全文を転載した。
和解条項 全文(3月4日成立) 1 当庁平成27年(行ケ)第3号事件原告(以下「原告」という。)は同事件を、同平成28年(行ケ)第1号事件原告(以下「被告」という。)は同事件をそれぞれ取り下げ、各事件の被告は同取り下げに同意する。 2 利害関係人沖縄防衛局長(以下「利害関係人」という。)は、被告に対する行政不服審査法に基づく審査請求(平成27年10月13日付沖防第4514号)及び執行停止申立て(同第4515号)を取り下げる。利害関係人は、埋立工事を直ちに中止する。 3 原告は被告に対し、本件の埋立承認取消しに対する地方自治法245条の7所定の是正の指示をし、被告は、これに不服があれば指示があった日から1週間以内に同法250条の13第1項所定の国地方係争処理委員会への審査申出を行う。 4 原告と被告は、同委員会に対し、迅速な審理判断がされるよう上申するとともに、両者は、同委員会が迅速な審理判断を行えるよう全面的に協力する。 5 同委員会が是正の指示を違法でないと判断した場合に、被告に不服があれば、被告は、審査結果の通知があった日から1週間以内に同法251条の5第1項1号所定の是正の指示の取消訴訟を提起する。 6 同委員会が是正の指示が違法であると判断した場合に、その勧告に定められた期間内に原告が勧告に応じた措置をとらないときは、被告は、その期間が経過した日から1週間以内に同法251条の5第1項4号所定の是正の指示の取消訴訟を提起する。 7 原告と被告は、是正の指示の取消訴訟の受訴裁判所が迅速な審理判断を行えるよう全面的に協力する。 8 原告および利害関係人と被告は、是正の指示の取消訴訟判決確定まで普天間飛行場の返還および本件埋立事業に関する円満解決に向けた協議を行う。 9 原告および利害関係者と被告は、是正の指示の取消訴訟判決確定後は、直ちに、同判決に従い、同主文およびそれを導く理由の趣旨に沿った手続きを実施するとともに、その後も同趣旨に従って互いに協力して誠実に対応することを相互に確約する。 10 訴訟費用および和解費用は各自の負担とする。 |