翁長知事は、「確定判決に従う」との発言に縛られる必要はない。国地方係争委員会の判断は無意味だという多見谷判決は、和解努力を無に帰するものであり許されない。うちなーんちゅ、うしぇーてーないびらんどー⑥〜9.16多見谷判決の異常さ(判決要旨から抜粋)〜
多見谷判決は、国地方係争処理委員会の「(国の是正指示について)適法性について判断せずに協議すべきである」との決定は無意味であると決めつける。その理由を次のようにいう。
①国地方係争処理委員会は行政内部の簡易迅速な救済手続きであり、同委員会の勧告にも拘束力はない
②同委員会が、是正指示の適法性を判断しても、双方共にそれに従う意思がないのであれば、それを判断しても紛争を解決できない
③同委員会は、国や地方公共団体に対し協議により解決するよう求める決定をする権限はなく、もちろん国や地方公共団体にそれに従う義務もない。
④同委員会の決定は和解において具体的に想定しない内容であったが、元々和解において決定内容には意味がなく、実際の決定内容も少なくとも是正の指示の効力が維持されるというものに他ならない
⑤沖縄県は本件指示の取消訴訟を提起すべきであったのであり、それをしないために国が提起することとなった本件訴訟にも同和解の効力が及び、協議はこれと並行して行うべきものと解するのが相当
⑥代執行訴訟における和解は、同執行訴訟において被告が不作為の違法確認訴訟の確定判決に従うと表明したことが前提とされているところ、被告は本件においてもその確定判決に従う旨を述べており、被告にも原告にも錯誤はなく、同和解は有効に成立した
ことごとく国の主張を入れた内容であり、国地方係争処理委員会の判断が和解上想定していなかったと認定しながら、その判断はそもそも無意味であるとの指摘は、代執行訴訟における和解を無視した暴論である。
さらに、代執行訴訟における和解が有効であるとの見解をあらためて示し、翁長知事の確定判決に従うとの表明を持ちだしているのは、悪辣な作為を感じる。
つまり、代執行訴訟における和解勧告(同種訴訟においては極めて異例とされる)は翁長知事から「確定判決に従う」との言質を取るためのものであったと考えられる。そうすると、代執行訴訟における福岡高裁那覇支部(多見谷裁判長)の和解勧告は単に翁長知事の言質を取ることが目的であり、そもそも紛争解決に向けたものではなかったということになる。福岡高裁那覇支部(多見谷裁判長)は当初から国勝訴を目論み、後々のために翁長知事の言質を取るためだけに和解勧告した。裁判所の和解勧告を信頼し、真摯に和解に向き合った翁長知事を騙したに等しい。詐欺行為だ。
民法は悪辣な相手方による欺罔行為を許さない。意思表示は、法律行為の要素に錯誤があったときは、無効であり(民法95条)、さらに、詐欺又は強迫による意思表示は、取り消すことができる(民法96条)。
代執行訴訟及び不作為の違法確認訴訟における翁長知事の「確定判決に従う」との表明(意思表示)は、福岡高裁那覇支部(多見谷裁判長)による悪辣な欺罔行為によってなされたものであり、無効若しくは取り消すことができると解される。
結論として、翁長知事は、「確定判決に従う」との発言に縛られる必要はないことになる。
・・国地方係争処理委員会は行政内部における地方公共団体のための簡易迅速な救済手続きでありその勧告にも拘束力が認められていないことから、是正指示の適法性を判断しても、双方共にそれに従う意思がないのであれば、それを判断しても紛争を解決できない立場にある。また、国や地方公共団体に対し訴訟によらずに協議により解決するよう求める決定をする権限はなく、もちろん国や地方公共団体にそれに従う義務もない。代執行訴訟での和解では国地方係争処理委員会の決定が被告に有利であろうと不利であろうと被告において本件支持の取消訴訟を提起し、両者間の協議はこれと並行して行うものとされたところ、国地方係争処理委員会の決定は和解において具体的に想定しない内容であったとはいえ、元々和解において決定内容には意味がないもとしており、実際の決定内容も少なくとも是正の指示の効力が維持されるというものに他ならないのであるから、被告は本件指示の取消訴訟を提起すべきであったのであり、それをしないために国が提起することとなった本件訴訟にも同和解の効力が及び、協議はこれと並行して行うべきものと解するのが相当である。なお、同和解は代執行訴訟において被告が不作為の違法確認訴訟の確定判決に従うと表明したことが前提とされているところ、被告は本件においてもその確定判決に従う旨を述べており、被告にも原告にも錯誤はなく、同和解は有効に成立した。 |