鳩山新政権の普天間基地県外移転の方針については、多くの県民が期待を寄せている。仲井真知事は慎重な姿勢を崩していないものの、那覇市長や嘉手納町長は見直しを歓迎し、早期実現に期待を示している。しかも、今回の見直しは単に普天間基地の県外移設にとどまらず、これまでの沖縄の基地負担の軽減を柱にしている。与党3党の政策合意にも沖縄県民の負担軽減が示され、前原国交相も日本の米軍基地の75%が沖縄に存することへの懸念を示した。しかしながら、北沢防衛相は慎重な姿勢を崩していない。政策の継続性、前例踏襲を基本とする防衛官僚の説明を聞けば、辺野古移転の方針の転換など論外に違いない。だからこそ、政治の責任による政策転換が必要になる。鳩山政権のように、沖縄の現状について語り、なすべきことについて明白に示した政権がこれまであっただろうか。そして、この方向を後押しするものは民意であり、最も必要とされるのは沖縄の声であり、沖縄県民の意思である。沖縄からの基地の整理縮小の声を絶やしてはならない。それどころか、更に声を大にして訴えることが必要だ。
橋本・クリントンのサコ合意による普天間基地移転問題の解決がそうたやすく実行できるとは誰も思わないだろう。しかし、民主主義を標榜する米国にとっても基地を受け入れる住民の意思は尊重されるべきものであるはずだ。名護市民投票の結果に反して基地受け入れを表明して辞任した比嘉前市長の姿を思い出す。当時の橋本総理は比嘉前市長の苦渋の決断に感謝すると記者会見で述べ、同時に、比嘉市長は名護市長の辞任すると、東京での記者会見で述べた。
様々な紆余曲折を経てきた普天間基地の移設問題は、今ようやく、多くの県民の求める方向へ動き出した。県民の声を発信しつづける努力を惜しんではならない。