岡田外相の普天間基地の嘉手納統合案発言の意図は何か。本当に嘉手納統合案が有効な解決方法と考えているのだろうか。地位協定は形骸化し、夜間飛行を慎むとの紳士協定も反故にされ、仲井真知事も公言するように、嘉手納・普天間両基地の爆音被害は少しも改善されていない。両基地の爆音訴訟でも爆音被害は認定されるものの、その被害の縮小(夜間の飛行禁止さえも認められていないのが現状である)にも裁判所も手を貸そうとはしない。このような現状において、嘉手納基地統合案を周辺住民が納得するはずはない。更に、与党三党の政策合意である沖縄県民の負担軽減は、県全体においておしなべて被害を軽減することにあり、基地被害を嘉手納基地周辺に集中して、それ以外地域の負担軽減を図るということではないはずである。基地被害を中部地域に集中させて、嘉手納以南の基地を返還することなど沖縄県民が望んでいるとは考えられない。
更に、新聞報道によれば、嘉手納基地の空軍と海兵隊の共同使用については、米軍関係者からは否定的な発言が相次いでいる。軍用機とヘリコプターの混在による基地機能の低下や事故の危険性が指摘されている。
それでも、嘉手納統合案が解決策として有効だと結論づけるのか。すでに民主党政権の瓦解が始まったのかと危惧している。