オバマ大統領がノーベル平和賞を受賞した。これまでにも政治家がノーベル平和賞を受賞したことがあった。しかし、現職の、しかも、未だ具体的な成果をあげていない政治家が受賞するというのは前代未聞である。政治家の受賞については故金大中氏や故佐藤栄作氏を思い出すが、いずれも引退後のことであり、受賞後には金で買われた等の暴露本が出されるなどした。それに比べると今回の受賞はまさに驚きである。受賞理由を考えるとき、先のプラハ演説を抜きには考えられない。唯一核爆弾を使用した国としての責任について初めて言及し、核廃絶を訴えた演説である。これまで、米大統領自らが核兵器の廃絶を口にすることなど考えられなかった。最大の核爆弾保有国である米国大統領の核廃絶に向けたメッセージは重みがあり、多くの人に希望と勇気を与えたに違いない。
それでは、次に彼がなすべきことは何か。広島・長崎の被爆者への謝罪である。現職防衛大臣が「あれは仕方がなかった。」と発言するくらいの国だから謝罪は要らない、とは考えてはいないだろう。核廃絶を実現するためには過去の過ちを直視することから始めなければならない。広島・長崎の被爆者へ謝罪がなければ過ちを悔いることにはならない。オバマ米国大統領が広島・長崎の被爆者への謝罪を表明したとき、核廃絶へ向けて大きく足を踏み出すことになる。