師走を迎えて普天間基地移設問題の解決に向けて、いくつかの大きな動きがみられる。
1 岡田外相が主張していた嘉手納統合案を断念したこと
もともと実現可能性が薄いとみられていた案である。新聞報道によれば、断念するため
の検証だったとの指摘もあり、最も実現可能性のない案が消えたことになる。ただ、この
案について、岡田外相が常に述べていたことは沖縄の負担軽減を前提として、ということ
である。負担軽減はこの問題を解決するうえでの新政権における大前提であり、議論する
にあたっては常にこの点に立ち返る必要がある。
2 普天間基地移設問題に関する与党3党による作業チームの設置が決まったこと
この合意にあたって、平野官房長官は「3党をとび越えて結論を決めることは絶対にな
い」とも述べている。県外・国外移設を主張している社民党が協議に加わることになった
ことは解決の方向性に大きな影響を与えることになる。
3 仲井真知事が鳩山首相に対して、政権発足後は県外移設を求める声が高まっていると伝
えたこと これまで仲井真知事は、県内移設容認に至ったこれまでの経緯にこだわり、ベターな選
択としての県内移設容認の姿勢を崩さなかった。それが、県民の声が高まっているという
表現で、県外・国外移設の姿勢を示したのである。
4 自民党県連が県外移設要求に転じたこと
自民党県連は、年内に政府方針が示されない場合は県内移設を容認してきた立場を
転換し、県外移設要求に踏み込む方針を決めた。これにより、県内保守勢力も県内移
設反対の基本姿勢を示したことになる。これは大きな転換点である。
以上の現状の中で、鳩山首相は、仲井真知事との会談の中で、普天間移設問題の解決
にあたっては「県外(移設)や負担軽減を望む県民の強い気持ちをどこまで受け止められる
かが勝負だ」と述べたと報道されている。それが真実なら、沖縄の民意がこれだけ明らかに
なり、しかも、普天間基地移設問題解決の基本が沖縄の負担軽減にあるとすれば、解決の
道はただ一つ県外・国外移設以外にはないのではないかと思うのだが。
鳩山首相の決断の日は近い。