亀井大臣の沖縄カジノ構想について、要望があれば検討したいと述べた前原大臣。浮き沈みを繰り返してきた沖縄カジノ構想。カジノを起爆剤として伸び悩む沖縄観光をさらに発展させたいというのが目論見である。その目論見通りに発展を遂げ、さらに成長を続けているマカオについて、興味深い新聞記事を見つけた。
カジノが社会問題化しているというのである。記事によれば中心となる問題は二つ。一つは学業を途中で放棄しカジノに高給を求める若者が増加していること。もう一つはカジノ以外の新産業育成が手付かず状態にあること。
前者の状況から察するに、マカオでは就職難ということはないようだ。手っとり早く大金を得たいがために学校をやめてカジノ産業に職を求める若者が増加しているという。政府は、就業年齢18歳以上としているのを、21歳以上に引き上げる方針を示しているというくらいだから状況は深刻だ。18歳といえば日本では高校卒業年齢。若者の多くが学校を離れ、カジノ産業への就職を求めているという状況を憂えるのは理解できる。国の将来を支えるべき若者の、安易に金もうけに走る姿に不安を感じるのだろう。
沖縄カジノ構想もそうであるが、カジノ導入の目的は観光産業の発展である。カジノは客を呼び込むための方策であり、これにより観光客数を増やすのが目的であった、はずである。ところが、マカオにおいては、カジノ産業の急成長により、もう一つの問題でもあるカジノ以外の新産業育成も手付かずの状態になった。世界不況のさなか、危険を冒してまで新産業育成に手をつける必要性を感じないのかもしれない。
しかし、とにかくカジノ産業は儲かるらしい。ちなみにマカオの賭博税収入は2008年は2000年の7倍を超えているというから、世界不況どこ吹く風という感じだ。
若者は、社会状況をいち早く把握し、現在の自分がどうあるべきかを踏まえて行動する。若者の行動は社会情勢を反映したものだ。マカオの若者たちの行動もまさに社会情勢を反映したものであり、その社会を作ったのは大人たち。自分で作ったカジノ産業という繁栄の船に若者たちが乗り込もうとするの認めないというのは許されるのか。
私にもよくわからないが、確実なのはカジノ産業の反映の先にも問題はあるらしいということ。犯罪の多発やギャンブル依存による人心の乱れだけでなく、将来にわたる地域・社会の在り方についても議論・検討すべき必要がある。
そんなに議論ばかりしているといつまでもカジノ導入できないとの批判がある。
私自信の結論としては、カジノ導入は、あくまでも、沖縄観光の観光客誘致の一方策にすぎないという一点を確認すべきだと考えている。議論の中で方向性を見失いそうになったら、立ち戻る原点を確認しておくこと。先の結論がそれにあたるのではないかと考えている。