嘉手納町の宮城篤実町長は、「広報かでな」(2010年1月号)の年頭のあいさつで、普天間基地の嘉手納統合案に関連して、嘉手納基地の現状及び基地問題の解決に向けての考え方を示した。町民の基地負担、騒音等の被害は限界に達しており、しかも、改善策が何ら功を奏しない中では、普天間飛行場の統合など絶対に許されないとしている。そして、「1997年7月、嘉手納基地の存在については、従来の整理縮小から全面返還に政策転換を打ち出し」たものの、被害の実態は何ら改善されていないと述べ、国防の在り方については国民が等しく負担すべきであり、そのために議論を始める時期に来ていると指摘している。
宮城町長の指摘は、嘉手納基地周辺に居住する住民のほとんどが支持するであろう。
普天間飛行場移設問題に端を発した沖縄の基地問題解決の機運をさらに進めていくためには、沖縄から基地の現状について発信しつづけなければならない。これまでのように何らかの利権絡みの関係の中で手をこまねいたり、消極的な態度を見せれば、高まりつつある機運にブレーキをかけることになる。
大阪の橋下知事や長崎県大村市の松本市長のように、普天間飛行場の移設先の議論について、話し合いには応じてもよいと発言する地方首長も出てきている。この状況を更に広めていくためには沖縄の政治家からの発言が必要不可欠である。保革を越えた沖縄の声を発信しつづける努力と勇気が求められる。