経営危機からの再生を図っていた日本航空が会社更生法の適用を申請した。裁判所を介しない任意整理による再建を模索していたが挫折したかたちである。
会社更生とはどのような手続きなのか。会社更生法1条によれば「この法律は、窮境にある株式会社について」適用されるとある。窮境という聞き慣れない言葉なので辞書をひも解くと「行き詰まった苦しい立場。苦境。」とある。つまり、自力での再建ができない程の苦しい立場に追い込まれた株式会社について適用される手続である。
新聞報道によれば、社員の3割にあたる約1万6千人の削減、子会社の半減、ジャンボ機の廃止、不採算路線廃止等が再生計画の中心になるとされている。上場廃止された日航株は紙切れ同然となる。とこらが、マイレージや優待券は保護されるという。少しでも客離れを食い止めるための策であろう。本来なら本業以外のサービス部分から切り捨てられるのが常である。株券が紙切れ同然になるのに、マイレージは保護されるとは変な感じもするが、顧客離れを食い止めるための策であり興味深い現象である。ま、いずれは切り捨てられるのではないかとも思うのだが。
任意整理の最中も不採算路線廃止が何度となく語られた。その度に当該地方の首長らが日航を訪れ運航の継続を陳情した。本当に路線廃止できるのかと思ったが、結局、法的整理によらざるを得なかった。いわゆるしがらみを断ち切るためにはこれしかなかったのである。企業年金も同様である。今後どれだけがカットされるのか。支払方法はどうするのか。年金の減額に応ずるべきだったのか。様々な思いが交錯していることだろう。
今回の会社更生法申請は、日航だけでな、子会社2社も含まれているが、影響はこれだけではない。日航の下請企業等にも大きな影響を及ぼすことは必至である。朝のニュースではすでに廃業を検討している中小企業もあるという。景気の持ち直し感が報道されたばかりの経済に冷や水を浴びせたかたちとなった。