様々なスキャンダルで騒がれてきた朝青龍に最大の危機が訪れた。容疑は傷害罪。報道によれば全治1カ月の鼻骨骨折というから単なるけがでは済まされない。示談が成立し被害者の告訴が取り下げられないかぎり起訴は免れないのがこれまでの常識だ。
問題はこれだけではない。大相撲の横綱がおこした事件である。これだけ公になれば引退は避けられない。最悪の場合廃業だ。
国技館は貴乃花の理事への立候補問題でも揺れている。テレビのインタビューで、これまでの慣例を無視してまで立候補した心境について聞かれた貴乃花は、この場で言うのは差し控えたいと最初は断ったが、なおも食い下がる記者の質問に「部屋の若い衆の育成です。」と答えた。相次いだ大麻問題等、これらが氷山の一角であるとすれば、大相撲の抱える問題は根深いのかもしれない。現状に固執し、改革に意欲を示さない組織に貴乃花は異を唱えたに違いないのだ。
模範となるべき横綱の大失態。一罰百戒。これだけの状況が整えば朝青龍の引退は避けられないのではないか。
初場所で見事な復活を遂げた横綱がこのような形で引退することは残念だ。サッカー事件等で精神的にも追い込まれた横綱が復活を果たし、昨年も引退までささやかれながら初場所で復活を遂げたのは見事だった。朝青竜のここ一番の集中力は目を見張るものがあるとの評価を見事に証明してみせた。しかし、使い古された言葉ではあるが、自ら招いた禍の代償はあまりにも大きい。今後の対応が注目される。