普天間基地の移設先を巡る問題がその解決に向けて大詰めを迎えるなか、新聞報道によれば、嘉手納町の宮城篤実町長が全国町村会理事会で沖縄の米軍基地被害の現状や日米地位協定の改定の必要性について全国的な共通認識をもって欲しいと呼びかけたという。
全国町村会とは全国の町村の首長を構成員として組織され、宮城篤実町長は常任理事を務めている。同会は平成5年の地方自治法の改正によって内閣又は国会に対して意見具申ができる団体となったという。しかし、残念ながら、今回の同町長の発言を受けて、同会で在日米軍のあり方を検討する枠組みが設けられる予定はないという。いわゆる言いっぱなし、聞きっぱなしの域を出ない試みである。しかし、少なくとも沖縄を代表する首長が沖縄の基地の現状について訴えるというのは意味がある。沖縄の基地問題については知らない、無関心という現状を打破するためには、インパクトのある地位にある人間の発言がどうしても必要である。
こうした中、平野官房長官は、内閣官房に「沖縄連絡室」を設け、沖縄に「沖縄連絡室分室」を設置すると発表した。基地問題や沖縄振興の視点から地方公共団体から直接意見を聞くことが目的とされている。
これを受けての判断なのか定かでないが、仲井真知事は未だに普天間基地の辺野古移設の可能性に拘っている。名護市長選挙で民意が明らかとなった今、政治の取るべき道は民意に沿ったものになるべきではないのか。比嘉元名護市長の二の舞いにならぬよう願うのみである。