仲井真知事は5日の定例会見で、岡田外相の普天間継続発言を批判しながらも、今まで言ったことを急に変えるつもりはないと発言し、辺野古案にこだわる姿勢を崩さなかった、という。仲井真知事の本音はどこにあるのだろうか。
米国の辺野古現行案履行の主張はあくまでも地元の同意が前提であった。民主党が政権交代を果たした先の衆議院選挙の前までは同意があるとされてきた。それが、先の衆議院選挙につづき名護市長選挙でも普天間の県外・国外移設が地元の民意であることが示されたのである。これを受けて米国のスタンスも鳩山首相のいう5月決着を見守るとの方向へと変化してきた。
それでも仲井真知事が辺野古案に固執する理由としては、普天間飛行場の固定化に対する懸念があるという。つまり、移設先が決まらなければ、基地が継続使用されるかもしれないというのである。岡田外相の発言が現実のものとなることへの懸念である。しかし、これについては鳩山首相や閣僚からも否定する発言が相次いでいる。そもそもの議論の出発点が普天間飛行場の危険性の除去であり、元にもどることはないとの認識である。
ということになれば、沖縄県知事のなすべきことは、基地の現状について発信し、沖縄の基地負担軽減を日本全体で考える環境を作り、基地受入れを検討しているされる地域の首長に対しては、受入れの体制の準備に手を貸すことではないだろうか。
今、やっと、沖縄の基地負担の軽減が実現しそうなときに、相変わらず、地元の知事だけが、民意を無視した施策が実施されてもやむを得ないという発言に終始しているのは許されない。今、問われているのは、知事が政策転換をすべきか否かなのではなく、普天間飛行場を国外・県外に移設させるにはどうすればいいのかである。
これまで遅々として進まなかった沖縄の基地負担の軽減策をやっと実現できる時期が来たのである。仲井真知事が勇気を持って政策転換し、県民の先頭に立って基地負担軽減に向かって進んでいくことを期待したい。