ヤシガニは陸上で生活をする最大の甲殻類。やどかりにその姿がそっくりで、オカヤドカリの仲間である。石垣島や宮古島に生息し、茹でて食すると結構うまい。数が少ないことから高級食材として珍重されている。これに目を付けた人がヤシガニの養殖を試みたことがあったらしいが、うまくいかなかった。 巨大なハサミは極めて危険だ。木の枝などは簡単に切り落としてしまう。捕獲するときは注意が必要だ。更に、食する時も注意を要する。内臓に毒を持っていると言われている。茹でた後、おしりからその部分をそっと抜きとる必要があるとか、茹でた際に赤くならずに青くなる奴は毒を持っていると聞いたことがあるが、確かなことは分からない。ヤシガニを食しての中毒事件が報道されることもあるので勝手に捕獲して食するのは危険だ。
雄は雌より大きく体長は40センチメートルを超え、脚を広げると1メートル以上にもなり、4キログラム以上に成長することもあるという。ヤシガニの体は、大きく分けると頭胸部と腹部に分けることができ、10の肢を持つ。2本の前肢は、巨大なハサミになっており、30キログラム近くのものを持ち上げることができるという。
そういえばこんな話を聞いたことがある。庭でヤシガニを見つけ、バケツをかぶせてその上にブロックを乗せておいたが逃げられたというのだ。確かに力持ちのようだ。
このヤシガニ、実は、乱獲により、以前から絶滅が危惧されている。平成20年7月31日、石垣市の水産総合研究センターは、飼育下でヤシガニの産卵から受精、抱卵までの一連の繁殖に世界で初めて成功したと発表した(当時のニュースはこちら)。
そのヤシガニが、撮影会の後、雨をしのぐために私の庭にやってきた。あの雷雨の夜を彼はどうやって過ごしたのだろうか。翌朝、彼の姿はなかったからきっと無事にやり過ごしたに違いない。