普天間飛行場移設について、国民新党は嘉手納統合案とキャンプシュワーブ゙陸上案を提案することを決定したと報じられている。2案とも沖縄の民意からすれば、到底受け入れられないることは明明白白である。にもかかわらず、国民新党がこの案を決定したのは何故なのか。しかも、これらの案を強硬に主張しているのが沖縄選出議員の下地氏であることも理解に苦しむ。
確かに、2案の前提として、基地爆音の軽減が謳われ、しかも、15年使用期限付きというから外形的にはそれなりの体裁を保っているようにも見える。しかし、15年使用期限と言われて思い出すのは、太田知事を破って初当選した稲嶺知事が、キャンプシュワーブ受入れの条件として 選挙中に打ち出したことがあった受入れ条件である。米国の承諾のない、将来得られるであろう希望に満ちた空手形である。その後、キャンプシュワーブ受入れの条件としての15年使用期限は、いったいどうなったのか。誰か知っている人がいたら教えてほしい。今回の国民新党の案もこの空手形の域を脱していない。
政治的誤解という言葉があるとう。対立する両者が、互いの主張を受入れないままに、手を結ぶ形だけを整える手法である。相手の主張を受け入れることなく、相手が分かってくれている、若しくは、分かってくれるだろうと解釈し、その解釈について、お互いに何も言わない。対立することが分かっていることがらは無視して、とりあえず、手を結ぶのである。つまりは、問題の先送りである。
今回の国民新党案は、まさに、悪化しつつあると言われている日米関係をとりあえずとりなすために、将来的希望に満ち満ちた妥協案でお茶を濁そうとしている。そうとしか、私には思えないのだが。