結論から申し上げると可能です。もちろん、売却代金は不在者のために保管しておくのが不在者財産管理人の務めですから、不在者が帰ってくるまで、あるいは不在者の死亡が確定し相続人に引き継ぐまで保管しておく義務があります。
具体的な売却手続は以下のとおりです。
①不在者財産管理人を選任した家庭裁判所へ不動産売却の許可の申立て(権限外行為の許可の申立て)を行います。
②申立てに際しては売買契約書(案)等の必要書類を添付します。
③許可決定が発布されると売却が可能になります。
④申立書式及び添付書類等(こちらをクリック:最高裁ホームページ)
不在者財産管理人の仕事はその名称のとおり、不在者の財産を管理することにあります。その権限は保存行為と管理する財産の現状を変えない程度の利用行為等に限られます。したがって、売却は権限の範囲を超えているので、裁判所へ権限外行為の許可の申立てをする必要があるのです。
権限外行為許可の申立は、公共工事(ダム建設や道路建設等)の際に所有者の所在が不明であるような場合に執られます。
根拠法令(いずれも民法の規定です)
(管理人の権限)
第二十八条 管理人は、第百三条に規定する権限を超える行為を必要とするときは、家庭裁判所の許可を得て、その行為をすることができる。不在者の生死が明らかでない場合において、その管理人が不在者が定めた権限を超える行為を必要とするときも、同様とする。
(権限の定めのない代理人の権限)
第百三条 権限の定めのない代理人は、次に掲げる行為のみをする権限を有する。
一 保存行為
二 代理の目的である物又は権利の性質を変えない範囲内において、その利用又は改良を目的とする行為
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