普天間飛行場移設をめぐる動きに、一定の結論が出されようとしている。しかし、その方向性は問題の基本である地元の同意、民意とは程遠い結論になろうとしている。
昨年8月の衆議院選挙で、「少なくとも県外」との公約(マニフェストに書いてないから公約でないという詭弁は許されない)で政権を取った民主党。その後の対米交渉においても、現行の辺野古沿岸埋立案を断念させるために、沖縄の民意である沖縄の米軍基地の整理縮小、沖縄の基地負担軽減を掲げてきたはずである。ところが、現在まとまっているされるのは、①キャンプシュワーブ陸上案と②勝連沖埋立案である。米国政府は地元住民の同意が得られない案の交渉には応じられないとの姿勢を示しているという。沖縄の民意を盾に交渉を開始したはずが、今度は逆にその民意を盾に米国から反対の姿勢を示されるのはいかにも皮肉である。
普天間飛行場移設先問題の根本は、普天間飛行場の危険性の除去である。ところが、その解決に、沖縄の経済問題とか、利益誘導とか、はたまた鉄軌道の導入とか、様々な振興策が取りざたされ問題解決の方向性を複雑にしている。沖縄経済の百年の計などと豪語する向きもあるが、普天間飛行場の危険性の除去は急務だ。百年の計など危険性を除去してから考えれば足りる。
沖縄の取るべき道はただ一つ。外野からの様々な騒音に惑わされることなく、沖縄の民意を主張しつづけることである。
沖縄の基地負担の軽減は、すなわち住民の身体・生命の危険性の除去である。正義は沖縄の民意にあり、である。