普天間飛行場移設先を県内に決めた鳩山首相がその理由としてあげたのが、抑止力である。またもや、日本防衛のための要石としての位置づけである。
沖縄に存在する米軍基地は普天間の海兵隊だけではない。北から北部訓練場、キャンプハンセン、嘉手納飛行場等々が存在する。(基地の配置図はこちらをクリック 黒塗り部分が基地)
鳩山首相の「学べば学ぶほど、沖縄の米軍の存在全体の中での海兵隊の役割を考えたとき、すべて連携している。その中で抑止力が維持できるという思いに至った。」という発言からすれば、沖縄に存在するすべての基地について整理・縮小は不可能だということになる。
「最低でも県外」という当時の鳩山民主党代表の言葉に、沖縄が心を動かされたのは、これまで膠着していた普天間飛行場移設問題が解決するという期待と同時に、普天間問題の解決が沖縄の基地問題の解決の糸口になるに違いないと確信したからに他ならない。
抑止力の意味については、米軍基地建設当時は共産主義の防波堤とか冷戦構造への対峙と説明されてきたが、東西冷戦が終息した後は日本の防衛、アジアの安定等と説明されている。しかし、いずれにしても、その論拠にはせっかく手に入れた沖縄を手放したくないという米国の国家エゴイズムと沖縄以外に基地の受入れが可能な地域がないという日本国内の地域エゴイズム剥き出しの構図が浮かび上がる。
官僚主導から政治主導という目標を掲げながらも、結局、沖縄の基地問題についてはこれまでの官僚主導による施策を追認することで決着しようとしている。
これに対抗するには、沖縄の民意を発信し続ける以外にはない。5月16日に実施される普天間基地を包囲行動や訴提起が予定されている新嘉手納爆音訴訟への沖縄県民の参加が不可欠である。果てしない行程にも思えるが今できることから始めて、その実績をひとつづつ積み上げていくことが重要である。