鳩山首相は、今日(5月24日)午前10時10分に那覇空港に降り立った。2回目になるが、今回も自衛隊機を利用しての来沖である。
10時21分。鳩山首相を乗せた車が県庁に入った。
10時45分。仲井真知事と鳩山首相の懇談が始まった。報道関係者が見守る中、懇談が始まった。QABが会談の冒頭分をライブ中継してくれたので、鳩山首相の生の声を聞くことができた。
まずは知事のあいさつである。5月4日の来沖の際には、普天間飛行場移設先について沖縄に一部負担を求める内容は仲井真知事に伝えられておらず、報道でその内容を仲井真知事も知ったこと。更に、報道されている日米合意の内容について県内には失望が拡がっていることが伝えられた。
そして、いよいよ鳩山首相のあいさつである。立ち上がり、知事に会えたことに感謝を述べた後、普天間飛行場移設問題については持参した文章を読み上げるかたちでお伝えしたいと述べた後、書類を取り出した。仲井真知事がこちらも起立しようかと声をかけると、鳩山首相から座ったままで結構ですと声をかけた。その後、起立したまま話す鳩山首相に対して、仲井真知事から、座ってお話くださいと声をかけ、以後は、鳩山首相も座り、懇談会が続けられた。
鳩山首相は、普天間飛行場移設先については、県外国外を検討してきたが、代替地については辺野古付近にお願いせざるを得ないこと。その理由としては沖縄に駐留する米軍のアジアにおける抑止力を低下させることはできず、そのためには海兵隊ヘリ部隊を他の部隊から切り離すことはできないこと。鳩山首相自らの「最低でも県外」という言葉を守れなかったことについて心からお詫びをする。ただ、今後とも沖縄の基地負担を軽減、危険性除去のために、訓練の移転等を進めていくこと。日本全体で沖縄の基地負担、国防の問題を考える機会をもつようにしていきたいと考えていること。を述べて理解を求めた。
これに対して、仲井真知事は、鳩山首相の話がマスコミどおりであると述べた後、辺野古周辺への移設は極めて厳しいと伝えざるを得ないと述べた。民主党の公約に近い発言により、県民大会にも示されるように、(県内移設は)県民の求める県外国外の熱い思いとの落差が大きい。この問題については時間をかけて県民の納得のいく説明が必要であると述べた。
更に、会談後の記者会見において、仲井真知事は、今回の鳩山首相の来沖について、失望・裏切られた感が強いと不快感を述べた。
以上が、私がマスコミ報道から知り得る、今日の鳩山首相の来沖の様子である。
仲井真知事を着席させ、自らは起立したまま、しかも準備した文章を読み上げるかたちで、政府の決定を伝えようとした姿勢には、鳩山首相の、いわゆる「人の良さ」を感じ取ることができるが、問題はそれで解決できるものではない。今回も、5月4日と同様に謝罪行脚である。
鳩山首相の発言からすれば、決まったのは普天間飛行場を辺野古付近に移設することだけであり、沖縄の基地負担軽減策である訓練の一部移転、そのための他自治体の理解、沖縄の基地負担軽減のための国民的議論、すべてがこれからの努力目標である。「最低でも県外」の言葉を反故にした張本人が、今後努力すると言っても誰が信頼するだろうか。
いずれにしても、沖縄が沖縄の声を発信し続ける以外に、問題解決の途はなさそうである。