普天間飛行場移設先問題について、鳩山首相は自民党の辺野古現行案への回帰を閣議決定した。それに先立ち、反対を表明していた民主党党首の福島大臣を罷免した。
憲法68条は、その1項で「内閣総理大臣は、国務大臣を任命する。」、2項で「内閣総理大臣は、任意に国務大臣を罷免することができる。」と規定している。
国務大臣の任命・罷免は総理大臣の専権事項であり、この権限に基づいて、鳩山首相は福島大臣を罷免したのである。しかし、罷免するからにはそれなりの理由がなければならない。
福島党首は、自分は政治家としての言葉の重みを大事にしたい、自らの言葉に責任を果たすために、今回の辺野古移設に反対し罷免されたと述べた。
一方、鳩山首相は、自らの言葉に責任を果たせなかったことを詫び、日米同盟及び抑止力維持のために福島党首を罷免せざるを得なかったと釈明した。
5月4日に来沖してから、鳩山首相が語るのは、毎日、謝罪の言葉である。自らの責任を認める発言であり、辞任間近である。
しかし、鳩山首相が辞任しても、基地の整理縮小・新たな基地建設反対の沖縄の民意が実現される見通しはたたない。辺野古現行案への回帰が閣議決定された以上、政権交代を図るしか途は残されていないように思う。
与野党の180名余の衆参国会議員が普天間基地の県外・国外移設を求める署名を平野官房長官に提出したとの報道があったが、少なくも、沖縄のことを考える議員がいることに安堵する。
今回の閣議決定についての県内の反応は総じて反対である。県内経済界も非難の声をあげている(報道内容はこちらをクリック)。
地元沖縄が、これだけ反対の声を挙げている中で、現実に、辺野古の海を埋め立てて滑走路を建設することができると考えているのだろうか。
地域主権といいながらも、地元への説明も、同意を得る努力をすることもなく、頭越しの決着の途を突き進む民主党政権。官僚主導から政治主導といいながらも、結局は官僚主導の途を選ばざるを得なかった民主党政権。
夏の選挙は、日本のあり方のみならず、沖縄のあり方をも決定づける選挙になりそうな気配だ。