普天間飛行場移設問題で、地元沖縄の民意を無視して、辺野古移設を強行しようとする菅首相には危うさを感じながらも、これまでの政治経歴から若干の期待も持っていたが、消費税増税論議の必要性を唱えてからは、その発言に危機感を持つ。
自民党の消費税増税の主張に対して、それに乗っかるかのように、増税論議の必要性を訴えた菅首相。昨年8月の衆議院選挙では、増税なしでも財政の立て直しは可能であり、当時の鳩山首相は在任中の4年間は増税しないと明言した。その鳩山首相が辞任し、自民党が増税の必要性を主張した途端に菅首相は増税論議の必要性を説き始めた。掌を返す変貌ぶりに国民は困惑するのは当然である。ここで必要なのは、先の衆議院選挙での公約を破ってまで増税論議の必要性を主張するに至った経緯の説明である。その意味において、自民党谷垣総裁の公約の撤回を謝罪してからでなければ、増税論議には応じられないというのは正しい。
ところがここへ来て、菅首相の発言が揺れている。増税するにしても、低所得者へ配慮するために食料品や教育費に関しては税率を低く抑えると言ったかと思うと、低所得者については消費税相当分の還付行うと言い始めた。しかも、還付する際の低所得者の範囲については、当初は年収200万円以下としていたのが、話すたびに金額が変わり、近々の演説では400万円以下と述べたという。確かに、菅首相の言い回しはこのようは方法もあるというもので、そうするとは言っていないので、公約とはならないのかもしれない。
しかし、本来菅首相が説明すべきは、増税論議の必要性を主張するに至った経緯であり、選挙目当ての耳触りの良い話ではないはずである。増税論議の必要性についても決着がついていない段階で低所得者への配慮を謳うなどは本末転倒ではないのか。
鳩山前首相の普天間飛行場移設問題における「最低でも県外」発言は、当時の党代表の発言にもかかわらず、最後は公約ではなく、個人的意見であったと述べて辞任した。
今回の菅首相の消費税増税に関する発言は、現総理大臣の発言である。日ごとどころか、発言するたびに変わる発言には、鳩山前首相以上の危機感を抱く。