沖縄の基地負担については、戦後の米軍占領下の中で米軍基地が建設されたことがよく知られているが、実は、戦中にも日本軍の飛行場が多数建設された。例えば、現在の嘉手納空軍基地は、沖縄に上陸した米軍により占領された陸軍沖縄中飛行場跡に建設された。
日本軍による戦線拡大の中、軍事基地を持たなかった沖縄にも、南方の基地を結ぶ中継地としての重要性が意識されるようになり、基地建設がおこなわれた。
平成15年度沖縄県受託事業 旧軍飛行場用地問題調査・検討報告書をもとにして、戦中における沖縄における飛行場建設状況について明らかにしたい。
1、戦中に沖縄県内に建設された飛行場 |
①伊江島飛行場 ②陸軍沖縄北飛行場(読谷飛行場) ③陸軍沖縄中飛行場(嘉手納飛行場等) ④陸軍沖縄南飛行場(仲西飛行場等 現浦添市) ⑤陸軍沖縄東飛行場(西原飛行場等) ⑥陸軍首里秘密飛行場 ⑦海軍小録飛行場(海軍那覇飛行場) ⑧海軍糸満秘密飛行場 ⑨海軍南大東島飛行場 ⑩海軍宮古島飛行場(平良・現宮古空港) ⑪陸軍宮古島中飛行場(上野) ⑫陸軍宮古島西飛行場(下地) ⑬海軍石垣島南飛行場(平得飛行場・大浜飛行場) ⑭海軍石垣島北飛行場(平喜名飛行場・ヘーギナ飛行場) ⑮陸軍石垣島飛行場(白保飛行場) |
2、各飛行場の建設経緯等 |
①伊江島飛行場 昭18〜19:陸軍航空本部等による新設工事 昭19.5〜昭20.2:拡大工事等 昭20.3:日本軍守備軍により破壊 ②陸軍沖縄北飛行場(読谷飛行場) 昭18:村内6字、1956筆、約266万㎡の土地を軍が接収 昭19.9:航空作戦基地といて利用できるまでに完成 昭19.10.10:米軍による空襲(10.10空襲) 昭20.3:米軍上陸直前、部隊は飛行場を破壊し、撤退 昭20.4.1:北谷海岸に上陸した米軍により占領 ③陸軍沖縄中飛行場(嘉手納飛行場等) 昭19.5:約47万㎡を軍が接収し、着工 昭19.9:完成 昭20.4.1:北谷海岸に上陸した米軍により占領 ④その他の沖縄の本当内の飛行場は米軍上陸により戦況が悪化するなく、建設途中で中断あるいは使用されることなく米軍に占領された。 ⑤宮古島の飛行場 昭18.5〜19:海軍宮古島飛行場、陸軍宮古島中飛行場、陸軍宮古島西飛行場建設 3飛行場とも空襲を受けるたびに決死の補修工事を行ったが、作戦計画の変更で宮古の飛行場が本格的な航空作戦に利用されることなく終戦を迎えた。 ⑥石垣島の飛行場 昭19.1:ヘーギナ飛行場の拡張工事 平得飛行場の新設工事着工昭19.6:白保飛行場建設 昭19.10.12:石垣で初めての空襲 昭20.4〜6:空襲が続き、石垣島の飛行場が航空作戦に活用される機会はなくなっていった |