参議院選挙の民主党敗北の理由について様々な報道がなされている。党幹部らは、菅首相の消費税増税議論提起が唐突で、選挙民にその意思が十分に伝わらなかったと説明する。低所得者への税分の還付発言では、低所得者の範囲について、当初は年収200万円以下だったのが、演説のたびに金額が変遷し最後は400万円以下となるなど、選挙民に不信を抱かせた。ここに選挙民の消費税増税論議の提案に選挙敗北の原因があるという。
しかし、原因はそこにあるのだろうか。現在の日本の財政状況から将来の福祉・年金制度を維持するためには消費税増税はやむを得ず、ただし、そのためには無駄の洗い直しが必要であるというのが国民の一般的な見方ではないのか。みんなの党が躍進したのは、正にそのことを示している。さらに言えば、今回の選挙で、最初に消費税増税について提案したのは自民党である。その自民党はどうだったか。改選第1党の地位を得たのである。
それではなぜ民主党は敗北したのか。それは、今回の選挙で争点にすべき、普天間飛行場移設問題、そして、政治と金の問題を争点化することを避けたからである。
菅首相の唐突な消費税論議提案について、国内の報道においても、その意図は普天間問題、政治と金の問題の争点隠しではないかと指摘されていた。
選挙結果を受けて、海外メディアの反応については次のように報道されている。
「ニューヨーク・タイムズは、菅首相が普天間問題の議論を避けてきたことなどに触れ『民主党は有権者を失望させた』と分析した。」
選挙結果の原因を単に消費税論議に矮小化するのでは、今後の民主党政権には期待は持てない。
(修正部分)
「選挙後の世論調査では消費税増税については半数が賛成しているとの数字がでている。」誤りです。削除して訂正しました。申し訳ありません。