夏の甲子園、第92回全国高等学校野球選手権沖縄大会。今日は決勝。糸満高校対興南高校戦。
強豪同士の決勝戦は午後0時30分試合開始予定。私は、午前11時30分に北谷球場に着いたものの内野席はすでに満員。仕方なく外野席へ。興南高校の応援席で観戦しようと陣取り、試合前の興南高校のシートノックに見入っていたところ、レフト外野席の糸満高校応援団後方の空に大きな雨雲が目に入った。カメラを濡らすわけにもいかず、片づけて外野席を出たところで雨脚が激しくなる。とりあえずと男子トイレに入ると前も見えないほどの大雨。誰もが試合中止かと思った。
しかし、場内アナウンスは試合開始の有無及びチケットの払い戻しについては午後1時青空が見えた.JPG30分をめどに決定すると告げた。私はライト席後方の男子トイレで雨宿りを続けていた。雨が小ぶりになったところで、球場の様子を窺うと、グランドは水浸しになっているものの雨が止めばなんとかできそうだ。徐々に空も明るくなってきた。午後1時前からは水抜き作業が始まった。
懸命にグランド整備作業を進めるグランド当番の部員達。
やがて、興南・糸満両行の選手たちベンチを飛び出し、外野で、監督を囲んでミィーテングを始めた。珍しい光景だ。シートノックを終え、誰もが中止、明日以降の試合を考えていただけに、仕切り直し、気合いの入れ直しである。
先発はもちろん、興南高校は島袋、糸満高校は宮國である。
序盤は制球が定まらない島袋を糸満高校が攻め、3回まで毎回ランナーをだすものの島袋の要所を押さえるピッチングで点が取れない。一方興南高校は良い当たりをみせるものの糸満の好守で押さえられていたものの、3回裏に2死からヒットで出たランナーがパスボールで2塁へ進み、センター前タイムリーで1点。ワンチャンスをものにしての先取点である。
そして6回表、糸満高校の7番島袋のレフトへのホームランが飛び出す。打った瞬間にホームランと分かる大きな当たり。打球はレフトのフェンスをはるかに超えてスタンド後方の防護ネットに直接あたる大飛球。高校生の底知れぬパワーにあらためて驚かされた。これで、振り出し。試合の行方は予断を許さない状況となった。
そして試合を決定づけた7回裏、興南高校の攻撃である。トップバッターがライト前ヒット。ここまで、2度けん制で一塁ランナーを刺されている興南高校は送りバントではなく、エンドランに切り替えた。これがあたり、バッターランナーは倒れたものの1死2塁。次打者の打球はショートゴロ。補給の直前に2塁ランナーがショートの前を横切り3塁へ向かった。タイミングは3塁送球でタッチアウトと思われた。次の瞬間ボールはセンターへ転がっていた。まさかのエラーである。ランナーは3塁を回り、センターからのバックホーム。タッチをかいくぐって見事生還。待望の勝ち越し点である。その後はヒット、スクイズを絡めて加点。そしてとどめは興南高校我如古の満塁ホームラン。この回8点。これで試合が決まった。
終わってみれば9対1。興南高校の一方的な試合に見えるが内容は互角。興南高校の島袋は10個の三振を奪いながらもデッドボール2個にフォアボール2個の乱調。糸満高校は再三のランナーが出るものの1本がでない。圧巻は5回表である。糸満高校は、島袋の変化球のタイミングを見事に捉えての2盗、3盗と連続に決めての2死3塁のチャンスメイク。見事というしかない。しかし、ここでも一本がでずに3塁残塁。
これが高校野球の怖さ。球威が落ちて捕つかまると打線の爆発力はとどまるところを知らない。疲れの見える糸満高校の宮國が捕まった瞬間が7回だった。そこまでは正に互角の戦い。やや押し気味の雰囲気を感じさせるところもあった。ここまで興南高校に迫った糸満高校の活躍には大きな拍手を送りたい。
それにしても、興南高校の島袋のピッチングは見事。ここ一番のピンチでのピッチングはすごい。対戦相手としては、チャンスメイクまでは予定どおりいくものの、あと一本がでない。島袋からすればあと一本は絶対に打たせない投球。その集中力は見事というしかない。そして、興南高校の打撃力は決勝戦まで健在。ここ一番での打線の集中力は見事であり、いつ攻撃が終わるのかと思わせる集中力は対戦相手としては脅威だ。
今大会の興南高校の投手力及び打撃力は、春夏連覇を狙うに十分な力を備えている。8月の夏の甲子園大会に期待しましょう。