民主党代表選挙が始まって5日目。普天間問題についての発言は小沢・菅両氏の間で大きく異なっている。
両氏とも先の日米合意を前提とする点においては一致していること。小沢氏が今後の道筋について何ら腹案を有しておらず、今後の協議によって良い案を導き出すとしている点を捉えて、実際には両氏の主張には大きな隔たりは無いとする見方もある。
しかし、代表選における小沢氏の普天間問題についての発言の特徴は「県民のみなさんの意向を踏まえて、また米国政府とも話し」というくだりである。普天間問題はまず沖縄の意向がどこにあるかを把握するところから始まり、米国との協議はその次であるとの見解である。政権奪取以前の民主党の姿勢はそこにあった。ところが、政権奪取後、鳩山前首相の「最低でも県外」発言の雲行きが危うくなると一気に舵を切り、その後は菅政権の姿勢のとおりである。鳩山・菅両首相は沖縄に謝罪し、辺野古受入れをお願いするのみで、仲井真知事の求めるなぜ辺野古に戻ったのかについての理由さえも示さない。
普天間問題に関する小沢氏の発言は常に「沖縄・米国双方が納得できる〜」というように、常に沖縄が先に来る。この姿勢は重要だ。ここへきて、政権奪取前の基本姿勢を小沢氏が主張している。外務・防衛官僚がこれまで積み上げてきた論理を、政治主導により変更しなければ普天間問題の解決はあり得ないという小沢氏の主張は正しい。
自民党政権下の政治家にはいわゆる沖縄の苦難の歴史を理解し、その解決に力を尽くした人が多くいた。ただその解決が金(経済的側面)によるものとなっていた結果が現状である。民主党政権下ではどうか。いわゆる沖縄の苦難の歴史を理解しようとする姿勢さえも示さず、米国との国際信義を守ることのみに奔走しているようにしか思えない。
民主党代表選挙をきっかけに、民主党が政権奪取前の姿を取り戻すことを期待したい。