ここ沖縄でも、これまでの夏の暑さがうそのように、朝夕めっきり涼しくなった。敷布団を敷いて、薄いタオルケットを掛けないと朝は肌寒さを感じる。そんな、寒暖の変化を感じながらも、朝の身支度をしているうちに日が昇ってくると、気温は上昇し、いつものように汗ばんでくる。そんな少しずつ変化していく季節の移り変わりの中で、間違いのない季節の変わり目を、私に感じさせてくれるのがトイレだ。そう、便座に座った瞬間である。
夏の暑さになれた身体。便座に座った瞬間に、その冷たさが心地よい間は、まだまだ夏である。特に誰かが使った後のぬくもりを不快に感じるのなら、季節は夏。
一方、便座に座った瞬間に、その冷たさが身を凍らせるような刺激が感じるとき、季節は間違いなく冬へと入っている。そして、誰かが使った後のぬくもりが心地よく感じられるとき、季節は冬。
人のぬくもりを感じるというとき、普通は、他人の善意や親切心に感謝する気持ちを表現するのだが、冬の冷たいトイレで、温め機能のない便座に、冷たさに覚悟して、勇気を振り絞って座った瞬間、人のぬくもりを体感する。文字通りの人のぬくもりを感じる。
夏から秋へと季節が変わっていくとき、今年は、いつ、便座のぬくもりを心地よいと感じることになるのか。その時が、私の冬の始まりなのである。