10.25琉球新報朝刊のワシントン報告「財政難で対日強硬姿勢」では、鳩山前首相の「最低でも県外」発言を封じ込めて5月の日米合意にこぎつけた米国の強硬姿勢やその後の思いやり予算の増額の要求などが米国の軍事費削減によるものであることが指摘されている。言い方を変えれば、米国は軍事予算の肩代わりを日本に要求しているというのである。
海兵隊の沖縄駐留について、それが、日本防衛、ひいてアジアの抑止力になっているとの見解は多くの専門家が否定している。また、抑止力となっているとする専門家にしても海兵隊の沖縄駐留については必ずしも必要ないとの見解もある。北朝鮮への抑止力という観点からしても、韓国への駐留の方がより抑止力としての機能を発揮するとの指摘もある。尖閣問題を引き合いに中国脅威論が引き合いに出されるが、経済において極めて強いつながりを持つ現状において、中国脅威論が果たして正しい見方なのか見極める必要があるし、ほんの数カ月前には、民主党国会議員の大訪問団が中国を訪れたばかりである。日中が中国脅威論に指摘されるような緊張関係にあるのか、疑問の残るところである。
このような状況にもかかわらず、米国が海兵隊の沖縄駐留に拘る理由は何か。
ワシントン報告に指摘されるように、米国にとって飛行場建設からその維持経費に至るまで日本が支出するという点が最大の魅力であり、米国が辺野古移設に拘る理由が見えてくる。
そうであれば、沖縄にこれ以上軍事基地を配置する必然性はなくなる。
世界地図上の米粒ほどの大きさにも満たない小さな島に、これ以上の負担を負わすことに大義はない。
大国同士の利害の駆け引きの中に沖縄が埋もれ、またもや基地負担を負わされようとしている現状に沖縄はノーを突きつけているのである。政治はこの現状を正しく認識すべきであり、そうでなければ普天間問題、ひいては、沖縄の基地問題の解決はあり得ないのである。