裁判員制度で、初めて死刑求刑された「耳かき店員ら殺害事件」の判決が昨日(11月1日)出された。判決は無期懲役。
刑事裁判への市民感覚の導入を大義名分として導入された裁判員制度では死刑判決が多くのなるのではないかと思われたが、現実に初めて死刑求刑された事件では無期懲役の判決が下された。過去の判例からすれば、今回の事件は、その流れに沿ったものと言える。
裁判員の評議においては、本件が「極刑をもって望むしかない」場合にあたるか否かが争点となったと思われる。犯行の残忍性や遺族の被害感情とともに、事件に至った被害者と被告人との関係、被告人のこれまでの生活態度や被告人の反省情等が考慮され、議論がなされたのであろう。
刑事裁判への市民感覚の導入を大義とする裁判員制度では、裁判員自身へ秘匿義務が課されている。そのため、どの程度に市民感覚の導入が図られているのか検証が難しい。誰もが裁判員となる可能性がある。裁判手続きの現場の情報をもっと開示すべき方向に行くべきではないかと思う。情報開示は、裁判員制度を定着させるためにも必要不可決である。