4月12日付け沖縄タイムス紙掲載の「普天間問題に関するラムズフェルド前米国防長官のインタビュー(詳録)」の内容で強い違和感を覚えるのは、同氏が「私自身は、沖縄の一般の人々と米軍の関係は良好だと感じていた」として、沖縄と米軍が良好な関係にあったと認識している点である。15年前の日米合意の発端が何であったのか。発端となった少女暴行事件は氏の記憶からは完全に抜け落ちているようだ。
少女暴行事件。当時本島・先島を含めて約8万人の県民が抗議集会に集結した。集会の冒頭、当時の太田知事は、被害者の少女を守れなかったことを深く謝罪し、二度とこのような事件を起こさないことを誓った、のである。
その後も米軍による事件・事故は枚挙にいとまがない。沖縄国際大学へのヘリ墜落事故、読谷村でのひき逃げ死亡事故、死亡事故にもかかわらず公務中不起訴事件等々・・。これはつい最近の出来事である。事件・事故は後を絶たないのが現状である。
問題は事件・事故だけではない。昼間はもちろん、夜間・深夜を問わない嘉手納・普天間基地の爆音等被害(離発着はもちろん、エンジン調整、排気ガス等含めて)は年々酷くなっている。
これでも、ラムズフェルド氏は「沖縄の一般の人々と米軍の関係は良好だと感じていた」と言い切るのだろうか。
ここでもう一つ気になることがある。佐藤優氏の4月10日付け琉球新報紙掲載の特別評論「メア氏国務省退職」の中の次のくだりである。同氏は先のメア氏沖縄蔑視発言について、「『メアが言ったことは本当ですよ』というよりも、防衛官僚の説明をメア氏がうのみにしたというのが真実と筆者は見ている。」と指摘している点である。
ラムズフェルド氏は、前米国防長官であり、部下の報告によって収集された情報に基づいて沖縄観が醸成されるはずである。同氏に届く情報は米国官僚の認識であり、ひいては日本政府からの情報によることを考えれば、日本政府が「沖縄の一般の人々と米軍の関係は良好」だとの認識を持っていると考えられ、若しくは、「沖縄の一般の人々と米軍の関係は良好」であるとの状況を創り出していることが考えられる。
変えるべきは、やはり日本政府の認識である。日本政府の意識を変えるにはどうすればいいのか。沖縄が、喫緊に、自ら、解決しなければならない課題である。