4月16日琉球新報に掲載された佐藤優氏のウチナー評論「ひとつになれ沖縄!〜危険な東京へのおもねり〜」は刺激的だ。東日本大震災への米海兵隊の貢献を盾にして、辺野古受入れを求める声が高まっているが、沖縄がひとつになって抵抗することが必要だと指摘する。更に抗するにあたっては「・・いちいち腹を立てるのではなく、ていねいに説得していく努力」が求められるとしている。極めて明快だ。
更に、氏は続ける。「ここで危険なのが、沖縄の内側から出てくる過剰同化の傾向だ。特に沖縄選出の国会議員が、東京における自己の権力基盤を強化するという野心から『・・震災の負担を沖縄も分かち合う必要がある。・・苦しんでいる人々の負担を、辺野古でなくとも、県内に普天間飛行場の代替地を提供することで、日米同盟深化のために貢献しよう』などと・・発言すると、外務官僚、防衛官僚はそれに飛びつく。・・」「・・いま重要なのは沖縄が『ひとつになれ沖縄! ひとつになれ日本!』という二つのスローガンを同時に掲げることと思う。」「個人的野心で、東京の政治エリート(国会議員、官僚)や米国におもねる発言をする沖縄選出の国会議員が出てくると、沖縄の利益を毀損するだけでなく、日本国家を弱体化する。」
氏の指摘からすると、沖縄の基地問題解決の工程において、沖縄の声を発信する段階から日米両政府を説得する段階へ移行していることになる。鳩山・メア両氏の発言からすれば、日米政府のスタンスが変わらければ基地問題の解決はあり得ないことが明白となった今、佐藤氏の指摘どおり、今後は沖縄自身が沖縄問題について丁寧に説明していくことが重要になる。