尖閣諸島沖の中国漁船衝突事件で、4月18日、那覇検察審査会は、那覇地方検察庁が中国人船長を不起訴処分(起訴猶予)としたことについて、18日、「本件不起訴処分は不当であり、起訴を相当とする。」(「起訴相当」那覇検察審査会、議決書全文 クリックすると他HMへ飛びます)と議決した。
起訴相当の議決理由については次ように指摘している。
「・・本件漁船が「みずき」船体に与えた衝撃は相当なものであった思われ、修理に要した費用も多額であったと思われることから軽微な損傷とは到底言えない。」 「検察官は、「みずき」乗組員が負傷するなどの被害は発生しなかった事を理由とするが、・・本件漁船の危険な操舵は、巡視船の損傷はおろか、人命を危険にさらす行為であったことを否定できない。・・」 「・・検察官は、被疑者の行動は「みずき」の追跡を免れるため咄嗟にとったのであり、計画性までは認められないと裁定した・・しかし次の理由により、その裁定には納得できない。 ア 被疑者は尖閣海域の本邦領海内で操業していたことを認識していた・・。 イ 被疑者は、漁船の乗組員が逃走を静止しようとした際、・・捕まったことはない。撃ってこない。」、「巡視船に撃つ勇気なんて絶対にない。」と述べ、逃走を継続している。 ウ 被疑者は、「この巡視船から逃げることができるのであれば、私の舟を巡視船にぶつけても関係ないし、それでも構わないと思っていました。」と述べている。 エ 上記の点を考慮すると、被疑者が日本領海における警備を軽視していたこと、また、追跡されても逃走できると考えていたことが窺われる。このことから・・どのような方法をとっても逃走を図る意図であったと思われ・・、咄嗟にとった行動であり計画性までは認められないという裁定には納得できない。 「被疑者は「今後、二度と魚釣島付近で漁をしない」旨を誓約しているが、・・何度も違法操業してきたことが窺われ・・、この誓約は被疑者の真摯な態度からでたものとは思われない。また被疑者は、本件に関し、謝罪や被害弁償を全くしておらず、起訴を猶予すべきではない。更に、処分保留により釈放指揮をしたのは検察官であり、その検察官が、被疑者が中国に帰国したので起訴をしないと裁定したことは納得できない。」 「検察官は、本件後、被疑者及び本件漁船による尖閣諸島付近海域で行行の確認はされておらず、同海域付近で操業する中国漁船が激減し、同種事案に向けた再発防止に向けた取り組みを期待し得ると述べるが、本件発生時には相当数の外国漁船が同海域付近に集まっていたのであり、季節的なことも考えられることから、今後、同海域付近で操業する中国漁船が激減するとは断定できない。」 更に、那覇検察審査会は、次のように付言し、日中関係及びビデオの公開にまで言及した。 「付言するに、当検察審査会は、この種事案の発生を防止し、わが国の漁船の操業の安全を確保するため、わが国の領海を警備する海上保安官の権限を強化し、わが国の領海での警備の実情を国民に知らしめるためにも本件に関するビデオの公開を希望するものである。また、日中関係の友好発展の課題もあるが、外交関係のけじめをつけるためにも上記趣旨のとおり議決した次第である。」 |
那覇地検は検察審査会の決定を受け、起訴すべきと思慮するが、如何だろうか。