私自身、そもそもクーラーが嫌いなのでできるだけ使わないようにしている。クーラーを使わずに涼を楽しむ方法はないものかと考えていたが、打ち水は結構効果的である。
私の事務所では1日に2回水を打つ。
1回目は朝。陽が昇りきらないうちにするのが効果的である。事務所の玄関、駐車場、事務所の前の道路に打ち水をする。地表の温度が上昇しないうちに水をまけば、しばらくは気化熱の効用で温度が上がらない。涼を楽しみながら仕事をしているうちにやがて昼になる。
昼になると打ち水をしてもあまり効果はないように思う。温められた地面に打ち水をすると気化熱というよりは熱い水蒸気が立ち上る。そして、更に太陽が地表を温める。これでは涼を楽しむところではない。
2回目の打ち水は夕方である。陽が沈みかけた時刻がいちばんいい。打ち水をすると温められた地表が一気に冷やされ、気化熱が上昇すると同時に涼風が吹く。陽は沈んでいくのでいったん冷やされた地表は、明日まで温められることはない。夕方の涼風を感じることができる。
打ち水により上昇した水蒸気は、やがて雲となり、雨となって地表に戻ってくる。熱い夏を乗り切るための打ち水は、やがて雨となって地表を冷やしてくれる。いわゆる再生可能エネルギーの典型であるともいえる。
電気を使わずに夏を乗り切る。涼を楽しむ工夫が、今、問われている。