7月19日付沖縄タイムス紙面に掲載された【特報】揺れる玄海町 構図重なる原発・米基地 クリックすると同紙HMへ は極めて興味深い。福島原発事故後、真っ先に原発再稼働に同意した佐賀県玄海町の岸本町長。しかし、菅首相の“脱原発依存”発言を受けて同意を撤回した。その真意についても同町長へのインタビューで明らかにされている。
まず、佐賀県玄海町の原発への依存については次にように掲載(抜粋)されている。
本年度の玄海町の一般会計当初予算額は57億円。このうち原発関連の交付金や補助金ななどによる歳入は、12項目にわたり計約14億4700万円、これに原発4基分の固定資産税約20億円を合わせると、予算の約6割を占める。 原発関連予算はこれまでに町民会館や温泉施設、特別養護老人ホームなどの「はこもの」や道路整備に充てられた。中学生までの医療費助成など・・独自の住民サービスも実施・・。 ・・岸本町長は「町人口の6分の1が原発関連の仕事に就労している」と説明する。 |
平田さんは、九電の「やらせメール」が発覚した・・番組に住民代表として出演。 平田さんは、・・代々苦労してきた農地への思いは強い。だが、安全が確立されれば原発の再稼働は必要と考えている。原発マネーは「町が生き残っていくために重要なもの」だという。・・「危ないと思いつつも、原発にすがらないと地域の経済が成り立たない。・・」・・「恩恵は受けながらも危険を背負っている。・・」・・ 普天間代替施設の建設に反対する稲嶺名護市長が誕生をした名護市をどう見ているのか問うと「名護市にも玄海町にも、どこかでターニングポイントがあったと思うが、玄海町は容認に流れ、もう戻れないところまで来た。名護市の場合、経済的なマイナスがあっても、はっきりと自分たちの思いを言えるようになった。それは街の将来にとっていいこと」と答えた。 |
・・原発の定期検査中は数千人の作業員が町に入る。民宿も居酒屋もガソリンスタンドも活況を呈する。定期検査の半年間で1年分の稼ぎを得る。・・不安を募らせるのは・・家族と旅館を営む女性。客のほとんどが原発作業員だ。「来年も原発が動いて客を確保できると分かれば銀行も融資してくれるが、今のままでは、いきなり自己破産」と力なく苦笑した。 町地域振興会長の牧原さんも「ここには九州電力以外に大企業なんてない。原発がストップすると、もともと足腰のもろい状態で食いつないでいるのですぐに倒れてしまう」と明かす。・・・「・・今はどうやって電力会社と協力しながら自分たちが成長していくかが町民共通の課題」と説く。 |
原発と米軍基地(防衛)の問題は、日本全体(原発で言えば特に人口集中地域である)が恩恵を受けるために、その被害は地方へという発想のもとに施策されてきた。そして、その代替措置として、被害を受ける地方へは経済的な恩恵を与え、均衡を取ってきた。しかし、今、その均衡が崩れた。原発について言えば、いざ事故が発生するとその被害はその一部地方には留まらない。今回の福島原発事故はそのことを現実に明らかにした。だからこそ、脱原発なのである。これを選択の余地のない方向である。問題は、脱原発へ向けての工程であり、どの程度の緊急性を有するのかは良く分からないが、急ぐべき事柄であることは間違いない。
これに対して、沖縄の基地問題は沖縄の民意が明確に示されている。これを無視して、将来にわたって基地負担を沖縄に強いることは許されない。問題の所在は明確である。後は日本政府の決断にかかっている。