尖閣諸島沖での中国船衝突事件で、不起訴処分になっていた中国人船長に対して、今月21日に那覇検察審査会が2度目の起訴相当の議決をしたが、28日、那覇地方裁判所は起訴する検察官役の弁護士2名(指定弁護士)を指定した、と報道されている。
今後は、指定弁護士が、中国人船長を裁判所に起訴することになる。
起訴を受けて、裁判所は、起訴状の謄本を被告人に送達しなければならない(刑訴法271条1項)。公訴提起日から2カ月以内に送達されないときは、公訴の提起はさかのぼって効力を失う(同2項)。そして、公訴の提起が効力を失ったときは、裁判所は公訴を棄却しなければならない(同法339条1項1号)。
報道等においても、中国に帰国した船長への送達の確保が問題視されている。送達の責任は裁判所が負うことになるが、所在調査は指定弁護士が行っており、公判維持のためにも、指定弁護士の協力が不可欠である。
報道等では、公判の維持は困難であるとの見方が示されているが、裁判所、指定弁護士等の努力に期待したい。